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運動会も終わり、さあ学びの秋と意気込む先生も多かろう。授業や教材に工夫を凝らし、子どもの心をつかむ。その一助に新聞を活用していただくのはうれしいが、残念な使われ方があった▼山梨の小学校。5年の担任が道徳の授業で「脅迫状」を作らせたそうだ。児童はグループごと、ひと昔前の誘拐犯よろしく新聞を切り張りし、黒板の例文を再現したという。この「不徳」について教師いわく。「共同作業の大切さを学ばせたかった」▼愛知では、小3の担任が出した割り算の問題がとがめられた。〈子どもが18人います。1日に3人ずつ殺したら何日で……〉。片や横浜の中学教師は、生物の時間に男子の口と鼻をふさいで失神させた。どれほど呼吸が大切かを教えるつもりだったという▼これらの先生は40、50代。悪意なく盛り上げようとしたにせよ、教室を笑わせるには寄席とは違った用心深さが要る。超えてはならない一線もあろう。授業中ではないが、大阪の高校教師は不用意にも、女生徒にゴキブリ駆除剤を食べさせてしまった。「私の特製クッキーよ」と▼無論、悪ふざけに傷つく子ばかりではない。とはいえ、脅迫状の代わりに招待状、「殺す」ではなく「遊ぶ」でも出題の狙いは達成されよう。それも穏やかに、親からの苦情もなく▼手作り、オンリーワンの授業だから良いとは限らない。効果のほどは、すぐれて「ワン」の中身による。面白くてためになる工夫なら、教師の研修を通じて津々浦々に広まり、技を欠いた思いつきは、コラム書きの糧となる。