HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 13 Oct 2010 21:13:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:生物多様性会議 幸先よいスタートに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

生物多様性会議 幸先よいスタートに

2010年10月13日

 遺伝子組み換え生物に歯止めをかけるカルタヘナ議定書第五回締約国会議(MOP5)が名古屋市で始まった。事前会合の結果をみると、続く生物多様性会議に幸先よいスタートが切れそうだ。

 人間は生きものの目に見えない基本構造さえも変えてきた。遺伝子組み換え作物(GMO)など、人工的に改造された生きもの(LMO)が世に氾濫(はんらん)しつつある。

 トウモロコシや大豆などGMOの栽培面積は世界全体で一億三千四百万ヘクタール。病害虫や異常気象に強くなるよう改造された植物だ。日本では国産のGMO食品はまだ流通していない。だが、加工原料や飼料として、知らないうちに身近になっている。

 カルタヘナ議定書は、生物多様性条約に基づいてLMOの国際移動に規制をかける取り決めだ。LMOが他国で在来種と交雑し、輸出先の環境に悪影響を及ぼさないよう、その種子が屋外にまかれる際には輸入国の合意を必要とするなど、輸出入のルールを定めている。一九九九年、コロンビアのカルタヘナ会議でまとまった。

 MOP5では、約百六十の議定書締約国と地域がその内容について話し合う。一連の「国連地球生きもの会議」の第一弾だ。

 議定書は二〇〇三年に発効した。しかし、例えばLMOが輸入国の生態系を乱し、人や環境に何らかの被害が出た場合、誰がどのように責任をとるかに関しては、主に南米の輸出国とアフリカの輸入国との間で折り合いがつかず、長らく棚上げにされてきた。名古屋のMOP5では、この「責任と救済」の問題に決着をつけるのが大きな課題とされていた。

 それが名古屋入り後の事前会合で、被害を起こした企業や国に賠償を求めることができるルールを定めることに合意した。十五日のMOP本番最終日、節目の会議が開かれた地名を冠し「名古屋・クアラルンプール補足議定書」として採択される見通しだ。

 温暖化から生物多様性に至るまで、環境の国際会議は、南北間の対立でまとまらないのが当たり前のようになっていた。このような流れに名古屋で歯止めをかけることができれば、補足議定書の意義はいっそう大きくなる。

 十八日からの生物多様性条約締約国会議(COP10)では、生きものから得られる利益の配分をめぐって、途上国と先進国の間で深刻な対立が予想されている。そこに差す一筋の光明として、MOPの行方を見守りたい。

 

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