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海上安全保障 中国は協議に前向き対応を(10月13日付・読売社説)

 日中関係の改善に向けての新たな一歩ではあるが、今後の道のりは平坦(へいたん)ではなかろう。

 北沢防衛相が訪問先のハノイで中国の梁光烈国防相と会談し、日中の戦略的互恵関係を着実に進展させることなどで一致した。

 会談が実現したのは、今月4日の日中首脳会談で合意した「ハイレベル協議の適宜開催」に沿うものだ。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係は一応、正常化しつつあると言える。

 一方で、中国の慎重姿勢も目立った。中国側の要請で、会談は非公式な形式となった。15日から予定されていた海上自衛隊練習艦による中国・青島寄港も、中国側の事情で延期される方向だ。

 梁国防相は、延期の理由について「中国国民の気持ちと態度を慎重に考慮する必要がある」と語ったが、あまりに一方的な主張であり、理解しがたい。

 北沢防衛相は会談で、「海上連絡メカニズム」の早期構築を呼びかけ、梁国防相は「早く成果を上げることが重要だ」と応じた。

 海上連絡メカニズムは、日中の防衛首脳や制服組幹部の緊急連絡体制を整備するものだ。艦船同士の些細(ささい)な接触が重大事態に発展するのを防ぐ狙いがある。中国は2年前、同様の軍事ホットラインを米国、韓国と設置している。

 この問題は10年以上前から日中間の懸案だが、実現していない。今回の漁船衝突事件や、今春の中国海軍ヘリによる海自艦船への異常接近を踏まえれば、日中は早急に協議を進める必要がある。

 日中間には多くの意見の異なる問題が存在するが、対話を重ね、具体的な実績を上げてこそ、戦略的互恵関係は実態を伴う。

 高官や艦船の相互訪問など一連の防衛交流に中国が慎重なのは、軍の実情が明らかになるのを避けたい思惑もあるのだろう。

 しかし、軍事的な透明性の向上は、周辺国の中国警戒論の緩和にもつながる。それは中国自身の利益にも合致するはずだ。

 北沢防衛相はゲーツ米国防長官とも会談し、活発化している中国の海洋活動に関して日米が緊密に協議する方針を確認した。

 翌12日には、東南アジア諸国と日米中など計18か国による初の国防相会議も開かれ、海上安全保障や災害救助などの多国間協力に関する共同宣言が採択された。

 アジアの安定に向けて中国の協力を粘り強く促すためにも、日本は米国や関係国との連携を強化することが重要である。

2010年10月13日01時50分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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