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10月12日付 よみうり寸評

 東京大学長や文部大臣を歴任した物理学者の有馬朗人さんが講演で「若い人は僕のように余計な事はやらずノーベル賞を目指して研究に打ち込め」と話したことがある◆理由は「ノーベル賞を取れない科学者は日本で全く評価されないから」。中央公論新社から今週出た「理科系冷遇社会」(林幸秀著)を読むと、科学を志した人たちの悲しい現状が分かる◆大学の理系学生は文系より学習時間が長く実験など必須科目が多い。学費も高い。が、就職先はつぶしがきかず選択肢が少ない◆研究者を目指して博士号を取得した1万6000人余が定職につけない。多くが奨学金などで借金も抱えている◆著者の林さんは文部科学省の元幹部で科学技術行政に携わってきた。自らの責任も認めたうえで理系冷遇が日本の技術力と国際競争力を低下させていると危機感を抱き、この本を書いた◆林さんは「何の手も打たなければ日本の科学技術は沈没する」と言う。日本人2人がノーベル化学賞に選ばれた先週を思いつつ、先を憂う。

2010年10月12日13時48分  読売新聞)
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