HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 11 Oct 2010 20:11:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:通貨安競争 多国間協調が急務だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

通貨安競争 多国間協調が急務だ

2010年10月11日

 先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が、中国を念頭に新興黒字国に対して為替相場の変動を容認するよう求めた。通貨安競争の激化を避けるためには、国際的協調体制の再構築が必要だ。

 世界経済の回復が遅れる中、各国は輸出拡大によって景気を支えようとして、自国通貨の下落を容認する姿勢が強まっている。

 ブラジルの財務相はいまや「国際的な通貨戦争状態にある」と述べたほどだ。なかでも中国は人民元の変動を認めながらも、介入によって実力よりも安い水準に維持してきた。

 今回のG7は、中国をはじめ経常黒字を続ける新興国が経済の実力を反映して、より柔軟な為替相場に移行するよう求めた点が最大のポイントだ。米国は繰り返し人民元の切り上げを求めてきたが、先進七カ国があらためて「中国包囲網」を築いたといえる。

 問題は中国も加えた十一月の二十カ国・地域(G20)首脳会合に持ち越される。ただ議論は一筋縄では進みそうにない。

 まず中国の反発は必至だ。温家宝首相は直前の講演で「人民元を切り上げれば、多くの輸出企業が倒産し、社会的・経済的な混乱が起きる。中国の混乱は世界の破滅だ」と強い口調で切り上げに反対する姿勢を示した。

 中国だけでなく、新興国の中には先進国の金融緩和が世界的なカネ余りを招き、結果的に新興国に流れ込んだ資金が実力以上の自国通貨高を招いているとして、先進国を批判する向きもある。

 中国を過度にやり玉に挙げれば、議論は先鋭化して対立が一層深刻になる恐れがある。新興国は通貨高を避けるために為替相場の柔軟化どころか、逆に為替と資本移動の管理を強める方向に動くかもしれない。そうなれば、今回のG7合意とは裏腹の結果になる。

 とはいえ、すべての国が同時に通貨安によって自国の繁栄を達成することはできない。そんな「近隣窮乏化政策」は、各国の対立を激化させるだけだ。

 先進国は中国の国内事情にも配慮しつつ問題を軟着陸させるよう、中国や他の新興国と粘り強く丁寧な議論を重ねるべきだ。

 G7は過度な為替変動が経済の安定に望ましくないと一致し、日本の介入について一定の理解を示したようだ。ただ、米欧には冷ややかな空気も残っている。

 通貨安競争に懸念が広がる中、円高阻止の介入には、これまで以上に慎重さも求められる。

 

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