HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37179 Content-Type: text/html ETag: "1046ab-159e-475fa500" Expires: Fri, 08 Oct 2010 22:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Oct 2010 22:21:37 GMT Connection: close ノーベル平和賞 中国に民主化を迫る授賞だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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ノーベル平和賞 中国に民主化を迫る授賞だ(10月9日付・読売社説)

 経済大国化しながら民主化を怠る中国に対し、基本的人権などの重視を求める強いメッセージと言えよう。

 今年のノーベル平和賞が、懲役11年の刑で服役中の中国の民主活動家、劉暁波氏に授賞されることが決まった。

 理由について、ノルウェーのノーベル賞委員会は、劉氏の長年にわたる非暴力的な人権活動を評価したものだとしている。

 その上で、中国に対し、言論の自由など国民の権利を尊重するよう注文をつけた。

 ノーベル平和賞はこれまで、1989年にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世、91年にミャンマーの民主活動家アウン・サン・スー・チーさんに授与されるなど極めて政治性の高い賞だ。

 今回も、その流れに沿った動きと言っていいだろう。

 これに対し、中国の外務省報道局長は、「劉氏は中国の法律を犯し、有罪判決を受けた人物。平和賞の趣旨に背く行為だ」と強く非難した。

 今回の発表に先立ち、中国の外務次官がノルウェーを訪れ、劉氏に平和賞を授けないよう、ノーベル賞委員会の事務長に政治的圧力をかけていた。それが無視された形で、中国の反発が今後も続くのは避けられまい。

 作家の劉氏は08年末に、直接選挙の実施、言論や集会、宗教の自由など、19項目の要求を盛り込んだ「08憲章」を起草した中心人物である。

 中国当局は、劉氏の言動が政権転覆を狙ったものとして逮捕・起訴した。今年2月には控訴審で劉氏の実刑が確定した。

 その劉氏らの「08憲章」は当局に握りつぶされ、報道や出版物に対する監督・規制は一段と強化されているのが実態だ。

 胡錦濤総書記や温家宝首相は最近、相次いで政治改革の必要性を訴えた。政治改革を求める国際的な声を無視できないのだろう。

 党指導部が目指すのは社会主義体制の枠内での政治改革だが、それでも具体的に動き出す気配は見られない。

 中国の国防費は89年の天安門事件以降、経済成長率を上回る規模で毎年増加している。軍備増強の中、経済的には豊かになったが、国民の権利は一向に改善されない。こうしたいびつな状態が、いつまで続くのか。

 国際社会で責任ある地位を占めようとするのなら、中国は劉氏のノーベル平和賞受賞の意味を重く受け止めなければならない。

2010年10月9日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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