HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37510 Content-Type: text/html ETag: "15cea8-15c1-94398080" Expires: Fri, 08 Oct 2010 00:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Oct 2010 00:21:05 GMT Connection: close 検察改革 倫理規定と監督強化が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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検察改革 倫理規定と監督強化が必要だ(10月8日付・読売社説)

 郵便不正事件の捜査を巡る大阪地検特捜部の一連の不祥事で、柳田法相は検察の組織や捜査の在り方を見直す第三者機関の新設を決めた。

 メンバーは法曹界や実業界から集める方針という。

 最高検は既に内部検証のチームを発足させている。だが、特捜部の主任検事に続き、証拠品の改ざんを隠蔽(いんぺい)した疑いで当時の特捜部長らが逮捕される前例のない事態に発展している。

 組織ぐるみの犯罪だった可能性が強まっている以上、検証作業を検察の手だけに委ねておくわけにはいくまい。民間を含め外部の厳しい目で、徹底的に問題点を洗い出してもらいたい。

 検察官は容疑者を起訴するかどうかを決める権限を持つ、唯一の国家公務員だ。それだけに、一般の公務員以上に高い職業倫理が求められる。

 今回浮上した証拠品の改ざんや隠蔽は、無実の人を犯罪者に仕立てあげるに等しい、検察官としてあるまじき行為だ。国民の信頼は地に落ちた。

 検察はこれまで明文化した行動規範を持っていなかったが、まずは基本に立ち返り、独自の倫理規定を策定してはどうか。

 特捜部の経験者を重用してきた検察人事の問題点を指摘する声も多い。特捜部で実績を残そうという「焦り」が背景にあったとすれば、人事評価の仕組みを再点検することも必要だ。

 民間企業で行われているような、社員にコンプライアンス(法令順守)意識を徹底させる教育も参考にすべきだろう。

 逮捕から起訴まで強大な権限を独占する特捜部の在り方にも批判が出ている。解体論が公然と語られるようになり、取り調べの全面的な録音・録画(可視化)を求める声も強まっている。

 過去に特捜部が、政界汚職や大型企業犯罪などの摘発に果たしてきた役割は大きい。

 “プロ集団”の捜査には、検察内部でも口を出しづらい雰囲気があるという。だが、特捜部の描く構図に無理はないか、取り調べや証拠収集方法は適正か、内部チェックの強化が肝要だ。

 上級庁の高検や最高検の監督・指導も、これまで不十分だったことは否定できない。

 保釈を条件に自白を強要する「人質司法」の悪弊や、都合の悪い証拠を弁護側に開示しないといった姿勢も問われよう。

 検察は、解体的出直しで信頼の回復を図らねばならない。

2010年10月8日01時41分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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