HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 08 Oct 2010 02:13:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:あの日、季節外れの大雪が降らなければ、警護の彦根藩士は動き…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年10月8日

 あの日、季節外れの大雪が降らなければ、警護の彦根藩士は動きにくい雨具は着けず、刀が抜きにくい柄袋(つかぶくろ)をかけることもなかったかもしれない。歴史に「もし」はないというが、現代史は大きく変わっただろう▼先日、映画『桜田門外ノ変』(原作・吉村昭)の公開に合わせた記念ウオークに参加した時、そんなことを考えた。秋雨がぱらつく中、水戸から参加した浪士の子孫や、歴史ファンと幕末の江戸の面影を探し歩く三時間半だった▼現場指揮役の関鉄之介ら十八人が集った愛宕神社(東京都港区)をスタート、彦根藩邸があった国会前庭、襲撃現場の桜田門などを回った。傷を負った浪士が訴え出た大名屋敷は、丸の内のオフィス街になっていた▼百五十年前、水戸浪士たちが登城中の大老井伊直弼を襲ったのは、彦根藩邸を出てわずか五百メートルほどのところだ。こんな目と鼻の先のところで、幕府のトップがむざむざと殺されたのかと、現場に立って意外な思いがした▼政治的テロを賛美し、承認する映画にはしたくないと、佐藤純弥監督は襲撃シーンをクライマックスではなく冒頭に持ってきた。事件の時代背景や襲撃に加わった無名の浪士の運命を描くことに力点を置いたという▼事件から明治維新までわずか八年。皇居を回るランナーがひっきりなしに通り過ぎる桜田門を見るたびに、歴史の「もし」を考える。

 

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