HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37648 Content-Type: text/html ETag: "15ed3b-1611-60d3b940" Expires: Wed, 06 Oct 2010 02:21:30 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 06 Oct 2010 02:21:30 GMT Connection: close 日中首脳会談 中国は互恵の前に報復撤回を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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日中首脳会談 中国は互恵の前に報復撤回を(10月6日付・読売社説)

 日中両首脳の対話が実現したことは、尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化した両国関係を修復する契機となろう。

 菅首相と中国の温家宝首相が、ベルギーで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の合間を利用して会談した。中国が一方的に中止していた日中のハイレベル協議や民間交流について復活させることで合意した。

 日中の経済関係を冷え込ませれば、中国も成長の鈍化を招き、国内不満を高める恐れがある。中国が望む日本の環境・省エネ技術の移転も、停滞が避けられまい。

 加えて中国の圧力外交は、国際社会に「粗暴な大国」(仏ル・モンド紙)との印象を与えた。中国側は、日中関係をこれ以上こじらせては失うものが大きいとして、首脳会談に応じたのだろう。

 来月、横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)への胡錦濤国家主席の出席に影響が及ぶ事態は避けたい、という事情もあったに違いない。

 会談では、戦略的互恵関係を進展させるとの「原点」に戻ることを確認した。それならば中国は、その前提として、今回の衝突事件を受けて行った対日報復措置を完全に撤回するのが筋だろう。

 拘束を継続する建設会社「フジタ」社員を早期に解放するのは無論、レアアース(希土類)の対日輸出も正常化すべきだ。

 菅政権は今後、貿易などで中国との関係を深めるとしても、主権や海洋権益の問題では、毅然(きぜん)とした姿勢を示す必要がある。

 中国当局は、漁船衝突事件を機に、尖閣諸島近海に漁業監視船を常駐させるようになった。

 漁船が“先兵”役を果たし、漁業監視船がこれに続くのは、中国が南シナ海での海洋進出で取った手法だ。到底、看過できない。

 菅政権は、中国側に強く自制を迫ると同時に、海上保安庁による監視体制を強化すべきだ。

 海保が撮影した衝突時のビデオも、中国側への無用な配慮で公開をためらうべきではない。

 読売新聞の世論調査では、中国人船長の釈放を不適切と受け止めている人は7割にのぼり、そのうちの4割が「日本は圧力をかけると譲歩するという印象を与えるから」を理由に挙げた。

 民主党の外交姿勢に「不安を感じる」と答えた人も、8割を超えている。

 菅首相は、国民の多くが厳しい視線を送っていることを強く自覚し、国益に立った外交を積極的に展開しなければならない。

2010年10月6日01時44分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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