HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37684 Content-Type: text/html ETag: "103f83-1697-91256680" Expires: Mon, 04 Oct 2010 03:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 04 Oct 2010 03:21:05 GMT Connection: close 北朝鮮新体制 挑発への抑止は日米韓連携で : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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北朝鮮新体制 挑発への抑止は日米韓連携で(10月4日付・読売社説)

 人事刷新で衣替えはしても、北朝鮮の金正日独裁体制の中身は何ら変わっていない。日本はじめ周辺国は、今後の動向を一層注視し、警戒を怠ってはならない。

 北朝鮮が発表した党指導部人事の全容を見れば、44年ぶりの党代表者会の狙いが、現体制の延命にあったことは明らかだ。

 党中央委員を選挙したのは30年ぶりのことだ。17年ぶりに党中央委員会総会を開いて、政治局や書記局のメンバーも選出した。

 党最高幹部の政治局員の平均年齢は80歳近い。高齢の長老たちを手厚く処遇することで、金正日総書記への忠誠を競わせる。それが、体制を安定させる秘訣(ひけつ)なのだろう。総書記は要所には、ぬかりなく同年代の腹心を配した。

 注目された総書記の三男、金正恩氏は、軍の大将という肩書を与えられ、27歳の若さで、いきなり党中央軍事委員会の副委員長に抜擢(ばってき)された。

 だが、事実上の後継指名にもかかわらず、正恩氏の政治局入りと書記就任は見送られた。若すぎるという理由からかもしれない。

 秘密のベールに包まれていたその姿も、初めて公開された。風貌(ふうぼう)は、「永遠の主席」と神格化されている祖父の故金日成主席にそっくりだ。金総書記は、初代の威光を背景に党を立て直し、権力の3代世襲を図ろうとしている。

 権力移行期にある北朝鮮が、軍指導者の正恩氏の存在感を内外に示すために、冒険主義に走らないか。警戒すべきはこの点だ。

 3月には、韓国政府が、北朝鮮による魚雷攻撃による、と結論づけた韓国海軍哨戒艦の沈没事件が起きている。

 今回の人事で、李英●・軍総参謀長が破格の昇進を遂げ、政治局常務委員と中央軍事委員会副委員長の要職に起用された。軍の実績を誇示しようと、同様の挑発行動に出る可能性があろう。(●は、金ヘンに「高」)

 経済の窮状を打開できない金正日体制が、求心力の回復や対米交渉をにらみ、3度目の核実験や、弾道ミサイル発射など、軍事的な成果を狙う懸念もある。事実、国連で北朝鮮代表は、核抑止力を強化する姿勢を改めて強調した。

 今後の北朝鮮の動向をめぐり、日本は、米国や韓国との間で、情報交換や実効性ある対策作りを進めていく必要がある。

 対北朝鮮抑止のかぎとなるのは周辺国の結束だ。中国と協調することは重要だが、いま、それをあてにすることはできない。日米韓の連携強化こそ最優先課題だ。

2010年10月4日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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