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10月3日付 編集手帳

 貧しかった少女時代。遠足の日、曽我ひとみさんは「お弁当には、なぜ辛い漬物しか入っていないの」と母親に尋ねたことがある。「辛いと、ご飯がいっぱい食べられるでしょう」。工場で働く「かあちゃん」からは、いつも機械油のにおいがしていた◆新しいセーターが欲しくて、こっそり家のお金を持ち出したこともある。「かあちゃんが服の一つも買ってやれたらな。かんねんな」。心に突き刺さるひと言に、少女は泣きじゃくった◆北朝鮮の招待所では、横田めぐみさんと、大好きな母親の思い出を語り合った。招待所の幹部はうそを重ねた。「お前の母親は日本で元気に暮らしている」「朝鮮語を覚えたら帰してやる」。帰った郷里に母の姿はない◆「今、一分一秒でも早く母を取り戻したい。思いは枯れません」。新聞、放送記者らマスコミ人が集まった新潟で先週、曽我さんは切々と訴えた。ハンカチを目に当てる者も多かった◆過熱報道の被害に遭ったこともある。「取材される側の状況にも配慮しつつ、拉致問題を風化させないよう報道を続けてほしい」。業界人には重い重い結びのひと言だった。

2010年10月3日01時19分  読売新聞)
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