HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 01 Oct 2010 20:13:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:鉄道車両の輸出 優れた技術は買われる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

鉄道車両の輸出 優れた技術は買われる

2010年10月1日

 JR東海系の鉄道車両メーカー、日本車両製造が米国の鉄道公社から二階建て電車の大量受注に成功した。海外での展開の可能性を秘めた日本の優れたインフラ技術に、いま一度目を向けたい。

 円高による業況の悪化に苦しむ産業界にとって、久々の明るい話題である。

 受注したのは「ギャラリータイプ」と呼ばれる二階建ての客車百六十両。住友商事と共同で、シカゴに本社を置く北東イリノイ地域鉄道公社(通称メトラ)と契約を結んだ。二〇一二年秋から四年間かけて納入していく計画だ。

 鉄道車両で国内最大手の日本車両は、これまで米国向けに九百両近い客車を納めてきた。今回の受注額は五億六千万ドル(四百八十億円)で同社の輸出としては過去最大。メトラとは一九九〇年代から取引実績があり、安全性などの面で高い評価を得ているという。

 納入後は、メトラの鉄道車両全体に占める日本車両のシェアが約七割に達する。同じ米国中西部では、インディアナ州の北インディアナ旅客輸送公社も既に全面的に日本車両の車両を採用している。このため、同社によると「シカゴを発着する通勤鉄道の大半」が日本車両製になるという。

 米国向けの鉄道車両では、川崎重工業も今春、ニューヨーク市交通局とワシントン首都圏交通局から相次いで地下鉄電車を受注。日本勢の健闘が目立っている。各社が長年の実績によって技術や安全、耐久性などの面で信頼を積み重ねてきた証左といえ、関係者は大いに誇っていいだろう。

 こうした一連の受注はJR東海などが推し進める高速鉄道ビジネスの追い風としても期待される。米国では昨年、全米を結ぶ高速鉄道の整備計画が発表され、JR東海、東日本が新幹線システムの受注を目指して売り込み合戦を展開している。高速鉄道と通勤車両とでは求められる技術水準が異なるとはいえ、米国内で日本製車両の走行実績が増えることは、十分にアピールポイントになるとみてよかろう。

 業界内では今年、日立製作所と三菱重工業が海外向け鉄道システム事業の協業で合意するというニュースもあった。相互補完で独シーメンス社やカナダ・ボンバルディア、仏アルストム社の“鉄道ビッグスリー”に挑もうという動きである。日本のインフラを支えてきたモノづくり技術は世界で十分に通用すると自信を持ちたい。

 

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