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9月29日付 よみうり寸評

 正男、正哲、二人の兄が順々に消えて、末弟の金ジョンウン氏が北朝鮮の最高権力者・金正日氏の後継者として公式に名をあらわした◆かつては正雲と書かれていたが、銀が正しいともいわれ、3兄弟で一人だけカナ表記だ。父の将軍様もはじめは正日ではなく正一と表記されていた。正体が定かでない方が虚像は作りやすい。伝説、神秘性も付与しやすい◆権力者が跡目を世襲にするのは、後継者に批判され、自らが抹殺されるのを恐れるからといわれる。北朝鮮はこれで3代の世襲が現実に動き出した◆ジョンウン氏は20代の若さで〈朝鮮人民軍大将〉であり、〈朝鮮労働党中央軍事委員会の副委員長〉。将軍様の名代の地位だ。二人の兄は後継を望まなかった◆とはいうが、将軍様は〈売り家と唐様で書く三代目〉を心配したらしい。でも、その二代目もそう大きなことは言えない。核に膨大な軍事費の支出、偽札・麻薬作り、喜び組やぜいたく三昧(ざんまい)◆一方に苦しむ国民、脱北者。北の経済はもう売り家寸前でないのか。

2010年9月29日13時41分  読売新聞)
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