HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 29 Sep 2010 23:11:41 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:地方空港 『格安』含め知恵比べを:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

地方空港 『格安』含め知恵比べを

2010年9月30日

 地方空港サバイバル時代だ。赤字経営にあえぐ中、航空会社の相次ぐ路線撤退が追い打ちをかける。羽田の国際ハブ化や格安航空の参入などで環境が激変する中、自治体の知恵比べが迫られている。

 今年三月に開港した茨城空港が国内九十八番目。誰が見ても、狭い国土に造りすぎだ。甘い需要予測を基に国が認可し、航空会社が支払う着陸料などを財源とした旧空港整備特別会計で造り続ける仕組みがあったからだ。こうして各地に自治体管理の不採算空港が“乱立”し、航空会社は就航を余儀なくされた。日本航空が経営破綻(はたん)した一因は、悪循環を放置した航空行政のツケでもある。

 日航が全面撤退する名古屋、松本、静岡空港では地域航空のフジドリームエアラインズが廃止路線を引き継ぎ、当面の危機は回避された。十月末で定期便がなくなる広島西空港は先行きの見通しが立たない。今後、存廃議論が出る地方空港は増え、廃港が避けられない事態もあり得るだろう。

 自治体側にも工夫は見られる。石川県の能登空港は、目標搭乗率を下回ったら全日空に保証金を払う制度を導入し、県民挙げて羽田便の利用促進を図っている。七年間で保証金は発生していない。佐賀空港は独自の着陸料値下げが奏功し、増便につながった。

 政策転換を目指す民主党政権は航空分野の成長戦略に、ターミナルビルと空港の経営一体化や、格安航空(LCC)の参入促進を盛り込んだ。自治体自らが真剣に経営を考えよ、と求めたわけだ。

 LCCは欧米市場の三割を占め、アジアでも急成長する。飲食サービスは有料、座席は直販、機種を絞る−など徹底したコスト削減で、大手に比べ七〜五割も安い運賃を実現している。既に国内でも成田、中部、関西空港などに七社が乗り入れ、アジア最大手のエアアジアが十二月から羽田−クアラルンプール便を開設する。全日空も参入を決めた。

 茨城空港は安い着陸料をPRし「片道四千円」という中国・春秋航空の上海便を誘致した。新潟空港は早々と全日空にLCCの関空便を要望した。「可能性があるなら何でもやる」(新潟県)という積極性が必要だ。観光地への安価で便利なアクセスなど受け入れ態勢の整備も求められる。

 空の自由化が進むほど地方空港への影響は深刻化する。時流に乗り遅れない、いや先取りする経営理念と戦略が生き残る道である。

 

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