HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 30 Sep 2010 02:13:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:学生時代、清掃のアルバイトで、大物財界人の部屋に入る機会が…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2010年9月30日

 学生時代、清掃のアルバイトで、大物財界人の部屋に入る機会があった。ふかふかのじゅうたんを洗っていると、壁に飾ってある詩が目に入った▼<青春とは臆病(おくびょう)さを退ける勇気、安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。ときには、二十歳の青年よりも六十歳の人に青春がある>。サミュエル・ウルマンの「青春」だ▼GHQの最高司令官マッカーサー元帥が執務室に掲げ、日本でも知られるようになった。功成り名を遂げ、老境に入った財界人の自らを奮い立たせる気概、枯れない野心が伝わってきたのを思い出す▼老いて盛んだった財界人とは対照的に、いま青春真っ盛りのはずの学生に元気がない。原因は就職難。今春、就職できずに大学や専門学校などを卒業した「既卒者」が約六万六千人にのぼるというから深刻だ▼政府は、卒業から三年以内の既卒者を正社員にした企業に奨励金百万円を支給する政策を打ち出した。それでも、先の見えない就職活動を続ける既卒者からは不安の声が漏れる▼終身雇用を求める新人が急増するなど若い世代の保守化も指摘されている。「若者が夢をあきらめて組織に埋没していく姿は、江戸期の身分制そのままではないか。これを打破しないで日本の発展はありえない」(城繁幸著『7割は課長にさえなれません』)。ぎらつくのは、財界人よりも若者の方がふさわしい。

 

この記事を印刷する





おすすめサイト

ads by adingo