HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37386 Content-Type: text/html ETag: "bd7b4-1586-ab0ed900" Expires: Wed, 29 Sep 2010 03:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 29 Sep 2010 03:21:41 GMT Connection: close 対日経済圧力 中国リスク回避へ分散化図れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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対日経済圧力 中国リスク回避へ分散化図れ(9月29日付・読売社説)

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を巡り、中国が経済問題で対日圧力を強めている。

 ハイブリッド車や省エネ家電などに不可欠なレアアース(希土類)の対日輸出を事実上制限しているほか、税関当局が通関手続きを厳しくするなどして、日本との輸出入業務が遅れる事態が生じている。

 中国政府は表向き、指示を否定している。だが、日本に揺さぶりをかけているのは明らかだ。国際的な経済ルールから見て、大いに問題がある。中国は、こうした報復的措置を直ちに撤回しなければならない。

 日本はレアアースの9割を中国から輸入しており、手続きが停滞していることに関連業界は不安を募らせている。

 中国側は日本に対し、「レアアースの輸出は禁止していない」と説明しているが、複数の日系商社は「輸出承諾書の発給は停止状態だ」と指摘する。

 中国が日本だけに輸出を禁止すれば、世界貿易機関(WTO)協定に違反するのは明白だ。日本政府は、早急に実態を調査し、手続きの遅れについて中国側に説明を求めるべきだ。

 同時に、レアアースの調達先の多様化や代替品の研究開発、リサイクルなどへの取り組みを急ぐ必要もあろう。

 日本企業は安価な労働力を当て込み、衣料品、自動車、電機メーカーなどを中心に、中国を生産拠点として活用してきた。

 13億人の人口を抱え、旺盛な購買力に支えられた中国の消費市場は、少子高齢化による内需低迷にあえぐ日本企業にとって、魅力的な存在でもある。

 しかし、今回の問題で中国が示した露骨な対応を見れば、過度な中国依存から脱することが、企業防衛上からも重要であることを再認識させられたのではないか。

 日本経済が「人質」となり、政府の外交・安全保障政策上の足かせになっては困る。

 日本企業は、生産や投資などを中国に集中させてきたビジネスモデルを再考し、中国以外の市場開拓に力を入れるなど、リスクの分散を図るきっかけにしなければならない。

 日本企業はエネルギーや環境などの分野で中国の技術開発を手助けしている。スーパーやコンビニエンスストア業界も進出するなど消費や雇用面で、中国の国民に恩恵を及ぼしている。

 中国政府は、こうした日本企業の貢献を評価すべきである。

2010年9月29日01時52分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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