HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 28 Sep 2010 22:11:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:貧困14億人 途上国の母子助けたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

貧困14億人 途上国の母子助けたい

2010年9月28日

 世界の貧困や格差を二〇一五年までに大幅に改善するという国連の目標はまだ道半ばだ。景気低迷で日本の援助関連予算も厳しいが、教育や保健など途上国の未来を開く支援には力を入れたい。

 国連本部で先週、ミレニアム開発目標の首脳会合が開かれた。二〇〇〇年の会議で貧困や教育、環境など八分野で達成すべき目標を定め、残り五年の今年は進ちょく状況を点検、課題をまとめた。

 一日一・二五ドル未満で生活する貧困層は一九九〇年は十八億人いたが、〇五年には十四億人に減った。中国やインドの経済発展が原動力となり「一五年までに半減」という目標は実現できそうだ。

 しかし、多くの分野で目標達成が危ぶまれている。

 世界ではいま七千二百万人の子供が学校に通っていない。初等教育の就学率は途上国全体では九割近くになったが、アフリカのサハラ砂漠以南の国々では70%台、紛争国の多くで50%に届かない。

 乳幼児と妊産婦の保健も状況はよくない。国連によると、途上国全体で「一分に一人の女性が出産、妊娠が原因で死亡」「一分に十六人の子供が五歳の誕生日を迎えるまでに死亡」するという。

 菅直人首相は首脳会合で演説し来年からの五年間で計八十五億ドルの拠出を表明した。母子保健やエイズなど感染症対策と病院整備を重点に五十億ドル、学校建設や教師育成といった基礎教育の普及には三十五億ドルを支援する。

 菅首相は日本国内では「最小不幸社会」の実現を公約したが、ミレニアム開発目標の理念とも一致するはずだ。母子ともに健康で、子供たちが皆学校に通えるようになれば、途上国の自立的な発展が期待できる。

 世界的な景気後退で先進国の援助は伸び悩んでいる。日本の政府開発援助(ODA)は九〇年代は世界一位だったが、この十年間で半減しいまは五位。それでも、日本には戦後、義務教育制度を整備し乳幼児の死亡率を改善させた実績がある。予算を有効に使いこの経験を伝えたい。他の支援国と協力して、援助事業を充実させる方法も必要だ。

 財政難の時代には国際社会でも「ばらまき支援」はできない。相手国に対して援助依存や汚職体質を断ち切り、自立を促すことが求められる。同時に、途上国が成長を果たせば、やがては世界経済にもプラスになるという視点も欠かせない。

 

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