HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 28 Sep 2010 21:11:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国謝罪要求 相手の弱さも見据えよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国謝罪要求 相手の弱さも見据えよ

2010年9月28日

 尖閣沖の巡視船と中国漁船の衝突事件で中国は日本に謝罪と賠償を要求してきた。船長の釈放後も態度が変わらない背景には国内の強硬論を抑えられない政権の弱さがある。たじろぐ必要はない。

 中国は船長が帰国した二十五日、外務省声明を出し船長の逮捕、拘置にあらためて「強烈な抗議」を表明し「必ず謝罪と賠償をしなければならない」と主張した。

 これに対し菅直人首相は「尖閣は日本固有の領土だ。謝罪や賠償は考えられない」と反論し、仙谷由人官房長官は巡視船の修理代を中国に要求する考えを示した。

 船長は日本領海で違法操業し巡視船に衝突して逃走する危険な航行で逮捕された。首相が中国の要求を拒否したのは当然だ。

 中国が閣僚級交流停止などの対抗措置で要求していた船長の釈放が実現しても態度を変えないのは、国内で強硬論が強いためだ。

 胡錦濤政権は二〇〇二年の発足後「平和的発展」を掲げ協調的な外交姿勢を示した。日中関係では靖国問題で五年も途絶えた首脳相互訪問を〇六年に安倍晋三首相の訪中を受け入れ、再開した。

 〇八年六月には、日中の主張する排他的経済水域(EEZ)が重なる東シナ海のガス田について、主権論争を棚上げして共同開発に合意する成果を上げた。

 しかし、主権問題をあいまいにした合意には党・軍内から激しい反対が噴き出し、その後、中国は反動のように海洋権益の主張を強める。軍関係者は南シナ海や東シナ海で「軍事闘争」も辞さない過激な意見を発表しインターネットやメディアで喝采(かっさい)を浴びた。

 胡政権が尖閣事件で過去の外交紛争と異なり街頭の大衆行動を認めず、尖閣海域に巡視船や軍艦を向かわせなかったのは、こうした行動は政権のコントロールが効かなくなる恐れが強いためだ。

 その分、温家宝首相ら指導部の日本非難は激しさを極めた。しかし、事態の際限ないエスカレートを望んではいなかったはずだ。

 中国は日本側の対応を非難しながらも菅談話への名指し攻撃を避け二度目の外務省報道官談話は「謝罪と賠償を要求する権利がある」とトーンダウンした。

 インターネットでは船長が尖閣海域の漁業に必要な中国政府発行の通航証を持っていたかどうかを問題にし英雄扱いを戒める意見も出始めた。十月一日から国慶節連休が始まるのは中国にとっても事態を収拾するチャンスだろう。

 

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