HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 27 Sep 2010 22:11:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:検事の犯罪 身内の隠蔽は許せぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

検事の犯罪 身内の隠蔽は許せぬ

2010年9月27日

 押収資料の改ざんが大阪地検幹部に報告されていた事実は重い。調査もしない幹部の失態は組織的な隠蔽(いんぺい)と同然で許されぬ。迅速な検証と厳格な処分がないと、検察はさらに国民の失望を招く。

 「フロッピーディスクに時限爆弾を仕掛けた」と、逮捕された大阪地検特捜部の主任検事前田恒彦容疑者は、同僚検事に話していたという。厚生労働省をめぐる郵便不正事件での押収資料の改ざんは、地検内部でうわさになり、上司の特捜部長や副部長にも報告されていた。

 なぜその時点で特捜部長らは内部調査を進め、事実を公表しなかったのか。身内をかばう意図があったのか、不祥事が表ざたになるのを防ぎたかったのか。調査を怠ったことは、重大な失態だと言わざるを得ない。

 しかも、特捜部長は検事正ら地検上層部に「公判に影響しないので問題ない」とも報告したという。押収品のデータ改ざん自体が犯罪だというのに、公判への影響という基準で「問題なし」とした特捜部長の判断は極めて問題だ。

 地検トップも問題の所在を見逃し、大阪高検でも「問題なし」で素通りしていたのなら、検察組織はまるでチェック機能を喪失しているといえる。最高検による、異例の特捜部長の事情聴取が進められ、地検トップらもその対象になるが、もはや単なる一検事の個人犯罪で済む問題ではない。

 最高検もいわゆる身内の論理に基づく検証作業で完結させてはならない。国会でも追及の的になるだろう。学識者や弁護士、市民など外部の第三者による目でも検証する必要があるのではないか。特捜検察の捜査の在り方そのものに「国策捜査」などと、かねて批判が絶えないからだ。

 検事が描いた事件の構図に沿う都合のいい証拠だけに目を向け、強引な取り調べを繰り返す。今回の郵便不正事件は、まさに特捜検察がはらむ、あしき体質が露呈しているといってもよい。

 前田容疑者は朝鮮総連をめぐる詐欺事件や小沢一郎元民主党幹事長の政治資金規正法違反事件などの捜査にも加わっていた。これらの過去の事件でも不適切な取り調べがなかったか、調査すべきである。

 仙谷由人官房長官は検察幹部の進退について「身の処し方は、株式会社組織とは違った厳正さが必要だ」と語った。幹部らは厳しさを表すという検察官徽章(きしょう)「秋霜烈日」に手を当てるときだ。

 

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