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農業人口急減 バラマキでは止められない(9月27日付・読売社説)

 日本農業の担い手不足は危機的状況だ。放置すれば、「食」の基盤を危うくしかねない。

 農林水産省が5年に1度実施している農林業センサスの2010年版で、国内農業の衰退ぶりが鮮明になった。

 農業を本業とする人は、05年の前回調査より75万人減って260万人に落ち込んだ。減少率22・4%は過去最大で、この20年間で農業人口は半減したことになる。

 戦後の農業を支えてきた昭和ひとけた世代が80歳代に入るなど、引退が本格化したことが要因だ。平均年齢は65・8歳と初めて65歳を超え、高齢化が止まらない。

 農地の荒廃も心配される。耕作放棄地は初めて40万ヘクタールに達し、農地全体の10%近くを占める。

 産業構造が変化するにつれ、第1次産業の位置づけが低下するのはやむを得まい。農業者の減少や高齢化は、先進各国が抱える共通の悩みでもある。

 だが、食料自給率が40%に低下した日本農業の地盤沈下は、欧米と比べても突出している。

 長年にわたって手厚い保護で農家や農協を守り、農業を自立した産業に転換させられなかった農水省や、農業の再生を掲げながら、選挙時の農村票を目当てにバラマキ政策を容認してきた政治の責任は大きい。

 求められるのは、農家や企業など様々な参入者が創意工夫することで利益を上げ、将来を託せるビジネスとして農業を改革することである。

 担い手の減少を農業復活の好機ととらえることもできよう。引退する高齢者の農地を意欲のある若手農業者らに集め、経営規模を拡大すれば、コストが下がり、生産性を高めることも可能だ。

 農地を手放したい人と欲しい人をうまく結びつけ、農地の整備や権利の調整を一体で進められるような取り組みが重要になる。

 しかし、民主党政権が今年度から導入した農家の戸別所得補償制度は、規模拡大で体質強化を目指す方向に逆行している。

 経営規模や農産物の品質などを無視し、一律に所得を補償する政策を続ければ、小規模農家を中心とした非効率な農業構造を温存することになりかねない。

 来年度はコメ農家に加え、麦や大豆などを作る畑作農家も対象とする方針だ。

 必要な予算額も今年度の5600億円から1兆円近くまで膨らむ。巨額の税金を投入するのなら、将来を担う中核的な農家に支援を絞り込むべきだ。

2010年9月27日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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