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「キレる」子ども 暴力の低年齢化にブレーキを(9月27日付・読売社説)

 暴力の低年齢化に歯止めがかからない。全国の小中高校を対象にした文部科学省の2009年度調査からは、学校現場が抱える深刻な状況が浮かび上がる。

 学校内外での暴力行為は4年連続で増加し、過去最多の6万1000件に上った。

 高校生の暴力は減少傾向にあるものの、小中学生では増え続けている。特に小学生は7100件で、3年前の2倍近い。教師が小学生から暴力を受け、病院で治療した件数は100件を超えた。

 かつては特定のグループが恒常的に暴力行為に及ぶことが多かったが、最近は、おとなしい子どもが何かのきっかけで突然、暴力をふるうケースが目立つという。

 グループのリーダーを指導することで問題を解決するような方法では対処できなくなっている。現状を分析して、新たな対応をとる必要がある。

 「キレる」子どもに共通する特徴は、自分の気持ちを言葉で表したり、感情をコントロールしたりするのが苦手なことだ。

 こうした点を克服するため、ある小学校では1、2年生の授業で、例えば、怒った顔をした子の写真を見せて、「この子がどんな気持ちでいるか」を、児童たちに考えさせているという。

 家庭の問題を指摘する専門家も多い。親が子どもに構わないため、しつけが十分でない、あるいは逆に教育熱心なあまり、干渉しすぎて子どもにストレスを与えている、といった意見だ。

 学校側には、子ども一人ひとりの家庭環境を把握した上で、親と粘り強く対話を重ね、改善を促していく努力が求められよう。

 一方、09年度に小中高校などで認知されたいじめの件数は、前年度より1万2000件少ない7万3000件だった。06年度の12万5000件に比べると、4割以上も減ったことになる。

 ただし、いじめが減少傾向にあると見るのは早計だろう。いじめの有無を尋ねるアンケートや個人面談を実施せず、「いじめゼロ」と回答した学校もあるためだ。

 同級生からいじめを受けていた川崎市の中学3年の男子生徒が今年6月に自殺した。現実にはこのような悲劇が繰り返されている。統計上の「いじめ減少」が教育関係者に気のゆるみをもたらすことがあってはなるまい。

 いじめはどの子どもにも起こりうるということを、学校現場が再認識し、小さな兆候も見逃さないことが大切である。

2010年9月27日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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