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9月27日付 編集手帳

 今から半世紀ほど前に世界のテノール・ファンを魅了したドイツ人歌手にフリッツ・ヴンダリッヒがいる◆生まれ故郷のドイツ南方の小さな町クーゼルには、約20年前に記念博物館ができ、数多くのCDやレコードのほか、舞台衣装や家族の写真などが展示されている。ここを訪れ、往年の姿を思い出し、涙を流すオールドファンもいるという◆町には彼の名前を付けた大通りがあり、コンサートホールもある。「フリッツのレコードは全部持っている。今でも時々聴くね」と幼なじみだった老人はほほ笑んだ。ヴンダリッヒが今、生きていれば、昨日(26日)で満80歳だ。残念なことに1966年9月、友人宅の階段から転落して、35歳の若さで亡くなった◆歌唱力を文字で表現することは難しい。だが、死後44年を経た今でもCDが発売され続けているテノール歌手と言えば、一端は分かっていただけるのでは◆来月23日には生誕80周年の記念コンサートがクーゼルで開かれる。ベートーベンの歌曲「アデライーデ」をH・ギーゼンのピアノ伴奏で歌うヴンダリッヒは、何度聴いても飽きないから不思議である。

2010年9月27日01時12分  読売新聞)
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