HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17360 Content-Type: text/html ETag: "468690-43d0-9304da80" Cache-Control: max-age=5 Expires: Mon, 27 Sep 2010 02:21:36 GMT Date: Mon, 27 Sep 2010 02:21:31 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年9月27日(月)付

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 歴代の強者(つわもの)を殿堂の個室から呼び出し、自分だけの夢のスタジアムで戦わせる。スポーツ好きの密(ひそ)かな楽しみだ。時を越えるのにチケットは要らない。そこそこの知識と想像力、あとは先人と比べうる現役がいればよい▼危機の大相撲で孤高を保ち、4場所続けて全勝優勝した白鵬も、比べるに値する一人である。殿堂のお歴々こそ、手合わせしたくて身もだえしていよう。連勝記録は62まできた。69代横綱は、いよいよ昭和の角聖、双葉山の69に挑む▼白鵬は近著『相撲よ!』(角川書店)で、どんな形にも対応できる理想の取り口に触れた。「流れに従って、体が自然に動くに任せる……体勢十分なら寄り切る、だめなら投げる。自然に動いてとった相撲はあとで観(み)ても美しい」▼意識するのは、本や映像で研究した双葉山の姿だ。偉大な先輩は、勝ちに行く気負いを感じさせないという。ふわっと立ち、攻めさせた上で自分が十分になる。きのうの日馬富士戦には、一瞬そんな味があった▼双葉山は「一日に10分だけ精神を集中させることは誰にでもできる」と語っている。今の白鵬には、双葉山の集中力に加え、大鵬の安定感、北の湖の厳しさ、千代の富士の切れ、貴乃花の正々堂々がある。大横綱の持ち味を「ちゃんこ」にしたような強さである▼白鵬は昨秋の巡業中、全盛期の双葉山と一番とる夢を見たそうだ。「結果はしばらく、私の中の宝物として封印しておきたい。本当に夢のような勝負をさせてもらった」という。並ぶか、抜くか。夢の続きを一緒に楽しみたい。

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