HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 26 Sep 2010 03:13:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:表情は、実にうれしそうな、ニコニコ顔。だが、口から出るのは…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年9月26日

 表情は、実にうれしそうな、ニコニコ顔。だが、口から出るのは「なんだ、この野郎!」といった怒りの言葉…。俳優の竹中直人さんが若いころよくやっていた「笑いながら怒る人」のギャグである▼これは極端にしても、どうにも本心が分かりにくい交際の相手というのはあるものだ。それは、国のつきあいでも同じ。表情にも言葉にも惑わされず、相手の本当の“腹”を読めなくては外交上手とはいえないだろう▼尖閣諸島沖で海保の船に体当たりした中国船の船長が逮捕された事件の経緯を見る限り、日本外交にそれができていた感じは全然ない。終始、相手の強い言葉や表情にうろたえ“腹”を読めぬまま右往左往した印象である▼結局、中国の圧力にたまらず腰砕けになった形で、突然、船長釈放とあいなったが、その“譲歩”にさえ、中国政府には「謝罪や賠償」を言い出される始末。いうなれば日本外交は名を捨て、早期収拾の実もとれていない状態だ▼それにしても、いくら一方的に領有を主張している場所で起きた事件とはいえ、中国の一連の反応は不可解だ。ついこの間までのニコニコ顔がただこの一件で、官民そろって一気に怒りの形相に変わる様(さま)に恐怖に近い感じを覚えたのは、ひとり日本国民だけではあるまい▼確かに、わが国は面目を失した。だが、中国も劣らず大きなものを失った気がする。

 

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