HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37597 Content-Type: text/html ETag: "10090e-1607-dddcb40" Expires: Fri, 24 Sep 2010 00:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 24 Sep 2010 00:21:05 GMT Connection: close 大阪地検特捜部 組織的隠蔽の批判は免れない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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大阪地検特捜部 組織的隠蔽の批判は免れない(9月24日付・読売社説)

 大阪地検は組織ぐるみで疑惑を隠蔽(いんぺい)していたということではないか。

 郵便不正事件の捜査の過程で、大阪地検特捜部が主任検事による押収資料の改ざんの可能性を把握し、地検上層部にも報告していたことが明らかになった。

 最高検の捜査チームは、主任検事の上司だった当時の特捜部長や副部長から事情聴取した。

 証拠隠滅という犯罪を疑わせるに足る重大な情報を、地検幹部はなぜ放置していたのか。徹底した捜査で真相究明と関与者すべての責任を追及する必要がある。

 厚生労働省の元係長宅から押収したフロッピーディスクのデータを、主任検事が書き換えたらしいという情報を特捜部長らが把握したのは、今年2月頃だった。

 主任検事は当時、「ディスクに時限爆弾を仕掛けた」と、他の検事に漏らしていたという。

 ところが特捜部長らは、主任検事から「故意ではない」との説明を受けると、それ以上踏み込んだ調査をしなかった。

 また、特捜部長は検事正に対し、資料の改ざんを巡る情報があったが「問題はなかった」という趣旨の報告をしたとされる。

 「時限爆弾を仕掛けた」という発言は、主任検事の意図的な改ざんを疑わせるに十分な例えだったのではないか。「故意ではない」との説明を、うのみにしていたのであれば、身内に甘い、あまりにもお粗末な対応である。

 検事正も、特捜部の報告に、何ら疑問を抱かなかったのだろうか。地検トップとしての危機意識に欠けていたと言わざるを得ない。特捜部に対し、さらなる調査を指示するべきだったろう。

 最高検は、特捜部長をはじめとする地検幹部が、改ざんの事実関係をどの程度まで認識していたのかを調べ、仮に法に触れる行為が確認されれば、立件も辞さない覚悟で臨んでもらいたい。

 今回の事件を受けて、民主党内からは検事総長の進退問題に言及したり、取り調べの全面可視化を求めたりする動きが出ている。

 今後、特捜部が手がけた他の事件についても、供述調書の信用性などを疑問視する声が強まる可能性がある。

 今必要なのは、主任検事による資料改ざん事件の全容を解明し、国民に速やかに公表することだ。郵便不正事件の捜査全般の検証も怠ってはならない。

 組織の自浄能力を示すことが、失墜した信頼を取り戻し、検察が再生する唯一の道だろう。

2010年9月24日03時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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