HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 23 Sep 2010 21:13:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:子どもの不登校 変化に敏感に大らかに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

子どもの不登校 変化に敏感に大らかに

2010年9月23日

 長い夏休み明けの新学期には不登校の子どもが増える。一学期中にため込んだストレスが立ち現れてくるようだ。周りは子どもの変化に敏感でいたい。不登校も受け入れ寄り添う大(おお)らかさが大切だ。

 今月上旬、不登校の子どもが通う東京都内のフリースクールの見学会が開かれ、親たちが参加した。不安げな夫婦の姿もあった。

 長男の不登校に苦しんだ経験から二十五年前、スクールを開いたNPO法人東京シューレの理事長奥地圭子さんが語りかける。「学校のみが成長の場ではないでしょう。子どもが自己肯定できる居場所が大切です」と。

 スクールの子ども四人が紹介された。「学校のように強制されないから楽です」「いじめられないし、自由に意見が言える」「ダンスや料理、音楽などやりたいことがやれる」。みんな笑顔だ。

 千二百人以上がスクールを巣立った。会社経営者や国連職員、保育士、電車の運転士、新聞記者など手に職をつけて活躍している卒業生は多いという。そんな説明に空気が和らいだようだった。

 二〇〇九年度の不登校の小中高生は、全国で十七万四千百人余りで前年度より3・2%減った。だが少子化が進んでいるし、予備軍を加味すれば、やはり深刻だ。

 特に小六から中一になると三倍に跳ね上がる。中学校では、授業は教科ごとに先生が代わる。中間や期末のテストが行われ、学業の圧力が強まる。環境の激変を乗り越えられず、問題を抱える現象は「中一ギャップ」と呼ばれる。

 不登校のきっかけは多様だ。友人関係につまずく。家庭がぎくしゃくする。成績が振るわない。突出しているのは不安や緊張、無気力といった自身の問題だ。成長途上にある多感な年ごろ。原因があやふやなのも当然だろう。

 朝の寝覚めが悪い。支度が遅い。「疲れた」「頭が痛い」と不調を訴える。内心では「登校しなくては」と葛藤(かっとう)しているに違いない。親や先生は小さなサインを見落とさず、焦らず寄り添いたい。

 小中学生の不登校は十万人を超えて十三年たつ。スクールカウンセラーや適応指導教室などの専門領域の拡充では限界のようだ。「学校へ連れ戻す」という発想の思い切った転換が必要だ。

 例えば、フリースクールや在宅学習などを学校と同等の公教育の場として認め、支援する。奥地さんは「子どもが主体的に学びの場を選択できる法的な仕組みを求めたい」と言う。支持したい。

 

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