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日印EPA 出遅れ挽回の確かな一歩に(9月21日付・読売社説)

 急成長している巨大市場インドで、自動車や電機などの日本企業がビジネスを拡大する追い風になろう。

 日本とインドの経済連携協定(EPA)交渉が大筋合意した。インドのシン首相が10月に来日し、正式合意する予定だ。

 民主党政権としては初めての合意で、日本のEPAは12か国・地域目となる。4年越しの難交渉がまとまった意義は大きい。

 日印両国の貿易額の94%に当たる品目について、関税を10年間で段階的に引き下げて、撤廃することが大筋合意のポイントだ。

 日本の主要輸出品である自動車部品や鉄鋼などに対するインドの関税は約7・5%〜10%と高く、撤廃のメリットは大きい。インドで現地生産する日本メーカーも、日本からの部品などの調達コストを削減できよう。

 インドでの投資規制を緩和する協定も盛り込まれた。日本企業は現地工場の建設や、設備投資の拡大などで戦略を練り、チャンスを生かしてほしい。

 インド市場の魅力は、12億人の人口を抱え、約9%の高成長が続いていることだ。自動車や家電などを購入する中間所得層が急増し、鉄道や電力などのインフラ(社会基盤)整備の需要も旺盛だ。

 菅政権は、アジアなどの活力を取り込む新成長戦略を掲げている。日印EPAはその戦略に沿い、インドでの日本企業の競争力を強化したり、インフラ輸出を拡大したりする効果が期待される。

 ただ、EPA戦略に積極的な韓国は今年1月、インドとのEPA協定を発効済みだ。韓印協定では5年から8年で関税を撤廃する品目が多く、インドの市場開放のペースは日本との協定より速い。

 韓国企業に比べて日本企業が強いられている不利な状況は、少しは改善されるが、韓国勢の競争力は依然、要警戒だ。

 インドが日本に要求した看護師などの受け入れは、日本の抵抗で具体策が先送りされた。両国の経済連携を深めるため、日本が譲歩すべきだろう。

 日本はEPA戦略で出遅れている。韓国との交渉は中断し、農業分野での市場開放に日本が抵抗する豪州との交渉は難航している。米国や欧州連合(EU)との交渉は開始のメドすらたたない。

 政府は挽回(ばんかい)を目指し、11月までにEPAの基本方針を策定する。常に交渉のネックとなる農業分野について、開放の方針を盛り込むべきだ。それなくして、今後のEPA交渉の進展は望めない。

2010年9月21日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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