HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 21 Sep 2010 03:11:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:片山新総務相 理念と手腕見届けたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

片山新総務相 理念と手腕見届けたい

2010年9月21日

 政権交代のシンボルでもある地域主権改革が、霞が関の根強い抵抗で前進していない。菅直人改造内閣の片山善博総務相は、鳥取県知事時代から名をはせた分権論者。理念と手腕を見届けたい。

 片山氏は旧自治省出身ながら、テレビ等で公然と官僚批判を繰り返してきた。就任会見で「地域主権は自身のライフワーク。全力でがんばる」と闘志をみなぎらせた。

 地域主権改革は鳩山由紀夫前内閣の「一丁目一番地」。受け継いだ菅内閣は国の出先機関の原則廃止や、ひも付き補助金の一括交付金化などを盛り込んだ地域主権戦略大綱を決めたものの、それっきり。民主党代表選では、小沢一郎氏に「官僚任せ」と痛烈に批判された。片山氏の起用は、菅首相が汚名返上とばかり政治主導を印象づける意欲の表れと評価しよう。

 出先機関の廃止は、国と地方の二重行政の解消や国家公務員の削減に直結する。究極の行財政改革であり、地域主権改革の試金石ともいえる。

 政府の地域主権戦略会議は国土交通省の地方整備局や農林水産省の地方農政局など、八府省の十三機関を対象に「自己仕分け」を指示した。その結果「地方移管は可能」とした事務・権限は一割にとどまった。権限を死守したい官僚自らの仕分けだから、お手盛りは予想された。当事者に“丸投げ”した手法自体が疑問である。

 全国知事会が強く求めたハローワークの移管に、厚生労働省はゼロ回答。「全国網を堅持すべきだ」と従来姿勢を崩さない。二年前から先行議論する河川・道路の移管には、国交省が「道州制など受け皿議論が必要」と指摘し、一向に前進しない。

 まさに上から目線である。官僚は、できない理由を並べるのは実に上手だ。どうしたらできるのかを、なぜ語らないのだろうか。

 出先機関には国家公務員約三十二万人のうち約二十一万人が勤務する。受け入れる地方にも覚悟が必要だ。ここで尻込みしては、霞が関の思うつぼになる。自治体間に“温度差”があるなら何も一律でなくていいのではないか。やる気のある自治体に先行移管や傾斜配分すればいい。地方同士が競い合う姿も見てみたい。

 戦略会議は公開の本仕分けを経て、年内に行動計画を策定する。さらに一括交付金の議論や関連法案の審議も待ったなし。片山氏の手綱さばき、これまでになかったスピード感にも期待したい。

 

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