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天声人語

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2010年9月21日(火)付

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 秘境好きの憧(あこが)れる南米パタゴニアの地名は、マゼランのつけた「足の大きい人々」に由来するそうだ。かの地を訪ねた作家の椎名誠さんにも『でか足国探検記』なる一冊がある。だが実際に足が大きかったわけではなく、毛皮のブーツが大きく見えた、というのが真相らしい▼「でか足国」は現代にこそある。エコロジカル・フットプリント、つまり「生態系を踏みつける足跡」と言われる指標の大きい国だ。この足跡は、生活をまかなうのに必要な耕作地や海、森林などの面積を言う。日本のそれはかなり大きい▼だから世界中が日本人と同じ生活をしたら、地球が2.3個分必要になるという。世界自然保護基金ジャパンが先ごろ算出して発表した。日本人はいま、国土が本来供給できる何倍も贅沢(ぜいたく)な生活をしている▼肩身が狭いが、それでも29番目にとどまる。1番のアラブ首長国連邦なら地球5.7個分が、2番の米国だと5個分が要る。世界全体でならせば1.44個分といい、もはや計算上は地球を食いつぶしつつある▼先週、16日の小紙「しつもん!ドラえもん」の答えに驚いた方は多かっただろう。人間の営みの結果、いま1日に約100種の生き物が絶滅しているという。恐竜時代の絶滅は千年に1種ほどだったというから、人類恐るべしである▼たまさか人間と生まれ、わがもの顔に振る舞ってばかりでは他の生き物に申し訳ない。贅沢な国と貧しい国の格差も著しい。肥大したブーツを脱ぎ、幸不幸の凸凹を埋める取り組みが、「でか足諸国」には待ったなしだ。

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