HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36383 Content-Type: text/html ETag: "f54d4-127d-fe1c5980" Expires: Sat, 18 Sep 2010 23:21:25 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 18 Sep 2010 23:21:25 GMT Connection: close 9月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

9月19日付 編集手帳

 <手で(さわ)った>か<手が()れた>か。満員電車で相手は女性。痴漢の罪に問われるかどうかは、双方の言い分を聞いた捜査官が、どう供述調書に表記するかで決まる。犯罪者か無罪放免かは紙一重◆北九州市の病院で起きた「爪切り事件」では、爪を<切った>と<はがした>の違いが元看護課長を被告人席に縛り付けた。正当なケアとして爪を切った、との主張は聞かず、<はがした>の供述を捜査官が押し付けた疑いがある、と裁判所は認定した◆無罪判決にあふれ出た涙。つらかったのは、プロとしての矜持(きょうじ)(おとし)められたことだろう。それは検察が控訴見送りの方針を固めたことで、近く無罪が確定する見通しの厚生労働省元局長の心境にも通じるはずである◆<失ったポストに無罪届けられ>は、よみうり時事川柳欄の句。判決後に大臣が「それなりのポストで処遇する」と約したのだから、一日も早い辞令で名誉回復を支援してもらいたい◆ノーサイドの笛から始まる戦いがある。「供述調書」で連敗の検察、警察の試練はこれからだ。有罪率99%を誇るプロ集団には、無辜(むこ)の人に恥じぬ捜査の検証を望む。

2010年9月19日01時15分  読売新聞)
現在位置は
です