HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 18 Sep 2010 22:13:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:尖閣衝突事件 『反日』の暴走を防げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

尖閣衝突事件 『反日』の暴走を防げ

2010年9月17日

 尖閣諸島沖で起きた日本の巡視船と中国漁船の衝突事件で日本に反発する動きが広がっている。中国の人々が意見を表明するのは当然だが、日本人への嫌がらせや暴力行為があってはならない。

 在中国日本大使館によると、広州の日本総領事館にビール瓶が投げ付けられたり、天津日本人学校にパチンコ玉のような金属球が撃ち込まれるなど中国の日本関係施設に対する抗議や嫌がらせが相次いでいる。

 九月十八日は満州事変の発端となった柳条湖事件から七十九年を迎え、各地で抗日戦争当時を思い起こさせる活動が行われる。

 中国のインターネットでは、この日に尖閣事件で中国漁船の船長が拘置されていることに抗議するデモが呼び掛けられている。日本大使館は邦人に集団行動を控え安全を確保するよう呼び掛けた。

 中国の人々が自らの意見をデモで表す権利は守られるべきだ。

 しかし、二〇〇五年四月に日本の国連安保理常任理事国入り反対などを掲げて行われたデモでは、北京の日本大使館や上海総領事館に石やペンキが投げ付けられた。中国治安部隊は目の前で投石などが行われても規制しなかった。

 当時、中国当局者は「日本は深く反省すべきだ」などと発言し破壊行為を黙認するかのような態度さえ示した。北京五輪(〇八年)の成功や開催中の上海万博により大国の威信を確立した中国で悪夢が再現するとは思いたくない。

 ただ、いかなる理由であれ暴力が黙認される事態になれば中国の国際的威信は地に落ちるだろう。中国側は尖閣事件をめぐる主張が日本への民族的反発をあおることのないよう配慮し、違法行為取り締まりを徹底してもらいたい。

 船長を送検し拘置を決定した時点で中国が強硬な態度に出ることは予想できた。日本としては中国の強硬姿勢にたじろがず、粛々と司法手続きを進めるほかない。

 巡視船が漁船に衝突したという中国側報道に対し、巡視船の写したビデオを公開し危険行為を明らかにするのは中国世論を沈静化させる上でも有効だろう。

 日中関係は「反日」デモが荒れた五年前に比べ格段に結び付きを強めた。尖閣をめぐるトラブルが関係全体を揺るがせば、互いに利益を損ない国民感情を傷つけ対立を克服する手だても失う。

 日中両国はそれぞれの立場を主張する一方で、事件の日中関係に対する影響を最小限に食い止める努力を怠ってはならない。

 

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