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尖閣沖漁船衝突 中国は「反日」沈静化に努めよ(9月16日付・読売社説)

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、中国の強硬姿勢が目立っている。

 中国人船長の逮捕に対し、丹羽宇一郎駐中国大使への中国側の抗議は5度にわたった。東シナ海のガス田共同開発に向けた条約交渉や、全国人民代表大会副委員長の訪日も一方的にとりやめた。

 特に、副首相級の戴秉国国務委員が休日の未明に大使を呼び出したのは、外交儀礼的に問題のある対応だ。事件と直接関係のないガス田交渉まで絡めることも行き過ぎである。中国には自制した対応を強く求めたい。

 事件が起きた海域は、日本固有の領土である尖閣諸島沖の日本領海内だ。違法行為を日本の国内法で裁くのは当然である。

 中国が、強い態度に出れば日本側が折れてくると考えているのなら、それは誤りだ。

 中国は、1970年代から尖閣諸島を中国の領土だと主張し、それを90年代からの「反日・愛国」教育で国民に浸透させてきた。

 尖閣問題で「政府は弱腰」との印象を与えれば、国内経済格差などへの不平や不満に“引火”し、中国国民の矛先が共産党指導部に向けられかねない――。

 そんな懸念もあって、中国政府は今回、日本に高圧的な態度をとっているのだろう。だが、それは明らかに筋が違う話だ。

 インターネット上では、日本への報復攻撃を促すなど過激な書き込みが増えている。天津市の日本人学校では、パチンコ玉状の金属球が撃ち込まれるなど、在留邦人への嫌がらせも起き始めた。

 日本政府は13日、船長以外の船員を帰国させ、漁船も返した。そうした抑制的な対応を評価するならともかく、中国は「政府と国民の一体行動の成果」と喧伝(けんでん)し、国内世論対策に利用している。

 これでは、「反日」世論は過熱するばかりだ。中国は、2005年の「反日」暴動を再来させることのないよう、国内世論の沈静化に努めるべきだ。

 日本側は冷静な対応に徹してほしい。ただ、海上保安庁の巡視船が「漁船に追突した」と、中国メディアが事実を曲げて報じていることには反論する必要がある。

 海保は、漁船が故意に衝突させた場面をビデオ撮影している。刑事裁判になれば証拠資料として提出する可能性があるため、公表を控えている。

 だが、船長に非があることが明白になれば、中国国内世論を落ち着かせるのに役立とう。ビデオを公開するのも一案ではないか。

2010年9月16日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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