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為替市場介入 ひとまず円高は止まったが(9月16日付・読売社説)

 1ドル=82円台まで急騰した円相場に歯止めをかけるため、政府・日銀が円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った。

 これまで円高対策は後手に回っていたが、6年半ぶりの市場介入で、円相場は85円台に値を戻した。政府・日銀は今後も断固たる姿勢で臨むべきである。

 円相場は、14日の民主党代表選で、菅首相の続投が決まった後に急騰した。

 海外市場に続き、15日の東京市場でも15年ぶりの1ドル=82円台後半に突入し、1995年に付けた79円台の史上最高値をうかがう展開になっていた。

 市場は、口先介入だけを繰り返し、実際には円高阻止に動こうとしない菅政権の消極的な姿勢を試そうとしたのだろう。

 通貨当局が市場介入を実施したのはそんなタイミングだった。

 この円高水準が続けば、自動車や電機などの輸出産業の収益を悪化させ、持ち直してきた日本の景気は打撃を受ける。

 円高克服を目指し、企業が工場の海外移転を加速すれば、国内産業が空洞化し、失業も増大しかねない――。そうした危機感が決断を促したと言えよう。

 円相場の急落を好感した東京株式市場の株価は大幅に上昇した。通貨当局が示した円高阻止に向けた明確なメッセージは、ひとまず効果をあげた形だ。

 しかし、今回は、日本だけの単独介入にとどまり、米欧などと連携した協調介入ではない。

 米国経済は急減速し、財政危機を抱える欧州経済も不安定だ。米欧当局とも、自国の輸出産業に有利に働くドル安とユーロ安を事実上容認し、円高阻止の為替介入に同調できない事情がある。

 米国では、金融当局の追加緩和観測がくすぶり、一段のドル安も懸念されている。

 ドルやユーロに比べて安定しているとされる円を「消去法」で買う動きが根強い。日本がかつて市場介入を繰り返した約6年前に比べると、為替市場の規模もはるかに巨大になった。

 それだけに、円買いの強い圧力に対して、日本の単独介入の効果がどこまで続くか不透明だ。

 重要なのは、政府・日銀が断固たる為替介入を続けると同時に、連携を密にし、さらなる円高対策に取り組むことだ。

 政府は景気の下振れを警戒しながら、景気対策に全力を挙げる必要がある。日銀も一段の追加緩和策を実施するなど、機動的な対応が求められよう。

2010年9月16日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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