HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 15 Sep 2010 23:13:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:レアアース 資源確保に油断ないか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

レアアース 資源確保に油断ないか

2010年9月16日

 日本に資源外交は存在するのか。政府、経済界の中国への「希土類乞(ご)い」はそんな疑問さえ抱かせる。粘り強い要請は欠かせぬが、技術協力などの得意技を生かす資源外交にも力を注ぐべきだ。

 二カ月前、日本の産業界に衝撃が走った。中国政府が前触れもなく「レアアース(希土類)の輸出量を二〇一〇年下期から削減」と通告してきたからだ。二万八千トンから八千トン、七割減はあまりにも大きい。

 ネオジムなどの希土類は、カメラレンズの研磨剤や省エネ家電、ハイブリッド車専用モーターの高性能磁石など、日本のモノづくりになくてはならない素材だ。

 張富士夫トヨタ自動車会長らが訪中し削減緩和を働きかけたが、薬物を使った鉱石採掘による土壌汚染を理由に「カナダなどからも輸入を」とかわされた。日中両政府の閣僚による経済対話も歩み寄りがないまま終わっている。

 中国の生産量は世界の九割、日本は大半が中国からの輸入だ。自動車向けは今年末、家電も十一月には在庫が底をつきかねない。希土類を使わない製品開発やベトナムからの分散調達も検討しているが、実現にはなお時間がかかる。

 中国の一方的ともいえる削減通告であり、もちろん翻意を促さなければならない。希土類の高値輸出をもくろむ中国の狙いも透けてくるとはいえ、資源小国・日本に危機管理の欠如や甘さはなかったか。それを総点検する好機ととらえ、今後の資源外交に生かすことも課題にすべきだろう。

 二十一世紀に入り、中国は資源浪費型成長モデルの限界に気づき、〇六年からの十一次五カ年計画を「環境重視」に転じた。

 内モンゴル自治区などは希土類の乱開発により土石流の危険にもさらされているという。日本は資源の多くを海外に頼っており、荒れた採掘地の原状回復を支援するなど、中国の戦略を先読みした資源外交こそが求められている。

 政府は昨年、海外資源の確保など希土類を含む「レアメタル(希少金属)戦略」を打ち出した。遅きに失した感は否めないが、中国が強く期待している日本の省エネ・環境分野の技術協力などをカードに、早急に安定確保の道を築くべきだ。

 日中関係は尖閣諸島付近で海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触した事件で険悪さを増しているが、菅直人首相は自ら表明した「元気な日本の復活」を担う産業を窮地に追い込んではならない。

 

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