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9月15日付 編集手帳

 菅首相は「初心を貫く 菅直人」と書いた。小沢一郎氏は「小沢一郎」とだけ記した。今月2日の公開討論会における記念の揮毫(きごう)である◆9年前の7月を思い出す。与野党7党首による参院選の公開討論会で、当時首相の小泉純一郎氏は俵万智さんの短歌をもじり、「自民党がいいねと君が言ったから二十九日は投票に行こう」と揮毫した。このときも、小沢氏は名前だけを書いている◆“たかが揮毫”に人物が表れることもある。陳腐な座右の銘や()れ歌を褒める気はさらさらないが、名前しか書かない人よりは、意思を伝える「言葉」を重んじている証しにはなるだろう◆自分の政治資金を巡って元秘書らが3人も起訴されながら、国会の場でただの一度も釈明しない。記者会見では、質問者に(さか)ねじを食わせるふりをして誠実な回答を拒む。小沢氏が党員・サポーター票で菅氏に5倍の大差をつけられた民主党代表選挙の敗因は、言葉を軽視、もしくは蔑視(べっし)する政治家に世間が示した拒絶反応とみるほかはない◆経験も指導力も財力もあるのに、「言葉」だけが致命的に欠落している。もったいないことである。

2010年9月15日01時37分  読売新聞)
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