HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 14 Sep 2010 22:11:59 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:銀行の新規制 貸し渋りを招かぬよう:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

銀行の新規制 貸し渋りを招かぬよう

2010年9月14日

 日米欧の金融監督当局が銀行の新しい自己資本規制策で合意した。日本の銀行も資本増強を迫られる。景気腰折れ懸念がある中、逆に「貸し渋り」で対応するようなことがあってはならない。

 国際業務を展開する大手銀行の資本規制強化は二〇〇八年の金融危機を機に銀行経営の健全性確保が求められ、〇九年以降、各国監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会が協議を続けてきた。

 これまでは普通株と内部留保などからなる中核的自己資本のリスク資産に対する比率を4%以上としてきた。新規制はより狭義の中核的自己資本比率を最低で4・5%とし、さらに達成しなければ配当制限などがある上乗せ分として2・5%を加え、実質的に7%以上に引き上げた。

 米国や英国などはもっと高い比率を求めていたが、日本や独仏などは低めの比率を訴え結局、中間的な水準に落ち着いた。一挙に達成する必要はなく、一九年までに段階的に適用する形になる。

 厳しい自己資本比率を義務化するのは、国際的に活動する銀行が経営困難に陥ると危機が連鎖的に世界に広がるためだ。自己資本を手厚くすることで経営体力を強化し、いざというときに備える。

 問題は自己資本比率を引き上げるために、分子である自己資本を増やすのではなく、逆に分母のリスク資産を減らしかねない点だ。それでは本末転倒である。

 実際に過去の景気後退局面では、不良債権が増えて自己資本比率が規制水準を割り込みそうになった銀行が一斉に貸し渋りに動いて社会問題にもなった。

 今回の新しい規制を受けて、欧州の一部銀行だけでなく、みずほフィナンシャルグループ(FG)や三井住友FGなど日本のメガバンクも自己資本の増強を迫られる可能性が高い。

 収益を増やして自力で増資するに越したことはないが、期限内に難しければ公募増資もためらうべきではない。

 邦銀がなにより避けなければならないのは、貸し渋りの再来である。

 景気低迷や円高株安で企業の海外脱出が加速する中、有望な貸出先が減って収益を上げにくい事情は理解できる。だが、そこへ自己資本比率達成のために貸し渋りに動くのは、自分で自分の首を絞めるようなものだ。

 金融の国際的競争が激化する中、財務体質の強化は避けて通れない。邦銀には後ろ向きではなく、ぜひ前向きの対応を望む。

 

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