HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 11 Sep 2010 22:12:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ペイオフ発動 銀行選びをしっかりと:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ペイオフ発動 銀行選びをしっかりと

2010年9月11日

 政府と預金保険機構が経営難に陥っていた日本振興銀行に対してペイオフを発動した。制度ができて初の発動だ。家計も企業も銀行はじめ金融機関の健全性に目配りする意識が一段と重要になる。

 日本振興銀行は中小企業向け融資を中心にしてスタートした。だが、事業が順調に伸びず、ノンバンクからの債権買い取りや大口融資の拡大路線にかじを切って、経営が行き詰まった。

 日銀出身の木村剛前会長は不良債権問題の専門家として金融庁顧問を務めるなど活躍したが、振興銀に対する金融庁検査で業務メールを削除するなど銀行法違反(検査忌避)に問われ、警視庁に逮捕されている。

 その後、作家でもある小畠晴喜(筆名・江上剛)氏が社長に就任し、再建を模索したものの結局、経営破綻(はたん)を免れなかった。

 普通の銀行とは違って振興銀の預金は定期預金のみで、給与の受取口座やキャッシュカードも扱っていない。他行との取引も少ないため、政府や日銀は金融システム全体に及ぼす影響は極めて限定的とみている。

 ペイオフによって、預金者は一千万円までの元本と利息が保護される。それを超える部分の払い戻しは今後の経営再建計画が決まった後に決まる。金融庁は預金口座全体の97%は全額払い戻しされるとみており、その面でも影響が少ないのは、預金者にとって不幸中の幸いだった。

 ただ、今回のペイオフ発動は家計と企業にとって教訓を与えるのは間違いない。これまでの銀行破綻では預金が全額保護されてきたが、これからは銀行がつぶれれば、預金保護は「元本一千万円とその利息」までが基本になる。

 ペイオフが適用されるのは「政府が全額保護してくれるなら、危なそうな銀行でも高利回りを狙って大金を預けてしまう」という預金者側のモラルハザード(倫理観の欠如)を防ぐ意味合いもある。

 これからは限定的とはいえ、預金者が自分でリスクを引き受けねばならない。

 インターネットで調べれば、定期預金だけでなく保険を含めて高利回りをうたう多くの金融商品が出回っている。そこから「危険」を発見するのは容易ではない。

 万が一を考えてリスクを避けるにはどうするか。多くの銀行、複数の商品に分散する。日ごろから情報を集める。預金通貨を多様化する選択もあるだろう。素人でも素人なりに知恵を働かせたい。

 

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