HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36155 Content-Type: text/html ETag: "f593c-119d-7c843140" Expires: Sat, 11 Sep 2010 03:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 11 Sep 2010 03:21:47 GMT Connection: close 9月11日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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9月11日付 編集手帳

 黒沢明監督は常々、若い助監督に口を酸っぱくして言ったという。「脚本(ホン)は書きだしたら絶対に最後まで書け。どんな強引な方法を使ってもいい。苦しくなって投げ出す癖がつかないように、とにかくおしまいまで書け」◆井上ひさし氏の対談集『物語と夢』(岩波書店)から引いた。無理にこじつけてでも書き上げろ…。脚本家を志す人には貴重な教えだろう。彼らが、いつ、泉下の黒沢氏に弟子入りし、創作術を学んだのかは知らない◆判決は検察の描いた事件の構図を否定した。「一部を」ではなく「ことごとく」である◆郵便不正をめぐる偽証明書発行事件で罪に問われた厚生労働省の元局長、村木厚子被告(54)に大阪地裁がきのう、無罪を言い渡した。関係者の証言すら満足に集めない。不都合な物証には目をつむる。取り調べのメモは廃棄する。ずさんな検察捜査に“有罪”を告げたにも等しい◆村木氏に罪を着せるシナリオを、誰が書き、誰が了承したのか、無罪の確定した時点で検察庁はつまびらかにすべきだろう。不向きな検事の職を辞し、得意な創作活動に転身する者が何人かいても驚かない。

2010年9月11日01時46分  読売新聞)
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