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9月7日付 よみうり寸評

 〈細菌の逆襲〉とはなるほどとうなずける。そのタイトルの中公新書が出たのは1995年だった◆当時、東大医科学研究所教授だった吉川昌之介さんの著で副題に〈ヒトと細菌の生存競争〉とある。帝京大病院、独協医大病院で多剤耐性アシネトバクターと多剤耐性大腸菌の感染例が相次ぎ、この題を思い浮かべた◆かつてペスト、チフス、赤痢、結核などの感染症は人類最大の病苦だった。しかし医学のめざましい進歩は抗生物質を生み、それらの恐怖を制圧した◆伝染病院や結核サナトリウムなどは歴史的使命を終え、ヒトは細菌感染症に完全勝利したと考えたようなところがあった。が、どっこい細菌はしたたかだった◆逆に制圧したつもりの側には油断があったとも言えそうだ。どんな抗菌剤でもいつまでも耐性なしというわけではない。耐性菌の逆襲が〈多剤耐性〉を生んだ◆そんな細菌の存在を知りながら、院内感染に無防備だったり、行政への報告が遅れたりしている。細菌の逆襲を許すな。防御を固めよう。

2010年9月7日13時54分  読売新聞)
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