HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 07 Sep 2010 23:13:59 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:猛暑の時代 緑陰が地球を冷やす:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

猛暑の時代 緑陰が地球を冷やす

2010年9月8日

 九月になっても猛暑は続く。この夏の東京の暑さは、熱帯に属するタイのバンコクを上回った。日本でも暑さで命を落とすのが不思議でない時代。まず木を植えて、都市の“発熱”を収めたい。

 「異常気象」は、もはや日常語になったといえるだろう。ことしの猛暑は、異常を通り越して危険である。

 この夏(六〜八月)の平均気温は、平年を一・六四度上回り、一八九八年の統計開始後、最も高かった。原因は偏西風の蛇行だそうだ。そのため、太平洋高気圧が居座ったからだと説明されている。しかし、日本の夏の平均気温上位十年のうち、六年が一九九〇年以降に記録されている。三年前には、岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で、ともに四〇・九度を記録して、日本最高気温を塗り替えた。

 愛知教育大の大和田道雄名誉教授は、過去の気圧配置と暑さの関係を分析し、百年後には一日の最高気温が三五度以上になる猛暑日が、六十日に達するという予測を立てていた。しかし「一・五倍のスピードで街が暑くなっている」と目を見張る。

 熱中症の患者も急激に増えている。七月半ばから八月末までに、約五百人が熱中症が原因で命を落としたとの統計もある。

 二酸化炭素(CO2)のせいかどうかは保留にしても、地球が熱くなっているのは間違いない。

 室内での被害が目立つ。エアコンをつけていないと、命が危険にさらされる。暑さが人の命を奪う。尋常なことではない。

 日本一を競い合う多治見と熊谷が暑いのは、気流の影響で、名古屋や東京で進行するヒートアイランド現象の余波を受けるからともいわれている。都市が発熱する時代、人間の暮らしと命を守るため、都市の改造が必要だ。

 川面を渡る“風の道”を造れば街は冷やされる。だが、高層ビルとアスファルトに閉ざされた市街地の大改造には、膨大な手間と費用がかかる。

 比較的安価にできる対策は、緑を増やすことである。直射日光を浴びたアスファルトの表面が五五度になる場合でも、木陰の芝生は二八度前後に保たれる。

 ビルの屋上や壁面緑化だけでなく、市街地に広葉樹の木陰を増やし、やがて緑のアーケードにしていくことで市街地の“体質改善”を進めたい。人が木に寄り添って「休」の字ができる。今こそ、緑陰に憩いと安全を求めたい。

 

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