HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37723 Content-Type: text/html ETag: "ad659-1619-4d12d980" Expires: Sun, 05 Sep 2010 03:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 05 Sep 2010 03:21:10 GMT Connection: close 中東和平交渉 お互いの譲歩が打開への道 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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中東和平交渉 お互いの譲歩が打開への道(9月5日付・読売社説)

 イスラエルが占領してきた土地にパレスチナ国家を樹立し、2国家共存を目指す首脳間の直接交渉が、1年8か月ぶりに再開された。

 今後2週間ごとに交渉を続け、1年以内の妥結を目指すという。中東和平プロセスが息を吹き返したことを、まずは歓迎したい。

 仲介に努めてきたオバマ米政権には、11月の米中間選挙を前に、有権者に中東外交の成果を示す必要があった。米国がイスラム世界で失った信頼を回復する梃子(てこ)にしたいとも考えたのだろう。

 交渉は、最初は細部の詰めにこだわらずに進めるとしているが、問題は山積している。

 まず、イスラエル政府が続けてきた占領地へのユダヤ人入植地建設だ。交渉は、建設凍結措置を受けて再開されたが、約束した凍結期間は今月26日に切れる。

 建設が再び始まれば、パレスチナ側は交渉をボイコットしかねない。早期決裂を回避する知恵と工夫が求められている。

 将来のパレスチナ領の一部が、イスラエル国家を認めないイスラム原理主義組織ハマスに統治されている現実もある。ハマスは交渉から排除されており、交渉での合意が履行される保証はない。

 そして、過去の交渉を決裂させてきた長年の課題がある。聖地エルサレムの帰属問題と国境画定、さらにパレスチナ難民の帰還権の扱いだ。だが、これら難題については、過去の交渉経緯から、互いに相手の立場は分かっている。

 要は、イスラエルのネタニヤフ首相が「永遠で不可分のイスラエルの首都」エルサレムを分割し、移譲できるか。パレスチナ自治政府のアッバス議長がパレスチナ難民のイスラエルへの帰還権を放棄できるかどうかだ。

 連立政権内に一切の譲歩を嫌うタカ派を抱える首相には、難しい決断だ。議長も、400万人を超える難民を簡単に見捨てるわけにはいかないだろう。

 アラブ諸国で初めてイスラエルと平和条約を結んだエジプトのサダト大統領も、テロを繰り返したパレスチナ解放機構(PLO)と和平に合意したイスラエルのラビン首相も同胞の凶弾に倒れた。

 場合によっては死を賭すような譲歩を迫られるかもしれない。

 2国家共存体制が築ければ、譲歩を決断した首脳に対する国民の否定的な見方はいずれ覆る。和平に反対するハマスは、パレスチナ人の支持を失っていくだろう。

 パレスチナを経済支援してきた日本も、交渉を後押ししたい。

2010年9月5日01時11分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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