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9月5日付 編集手帳

 「この日本一の山について今さら何を言う必要があろう」と、深田久弥が『日本百名山』(1964年発刊)に書いている。なぜなら「おそらくこれほど多く語られ、歌われ、描かれた山は、世界にもないだろう」から◆空前の登山ブームに沸く最近の富士山を見れば、かの山岳紀行家も驚くに違いない。5年前、20万だった夏期登山者数はいま30万人。山小屋の環境整備もあるが、「山ガール」と呼ばれる若い女性の富士山志向が大きいという◆なぜ富士なのか。ネットで見つけたランキング第1位の回答は「日本一の山だから」と明快だ。高さも知名度も満足度も「不二」の峰ということらしい◆古来、信仰の山として道者が登った。明治に入り女人禁制が解かれる。1895年の冬、山頂に設けた気象観測小屋に、命がけでこもった夫婦の記録を新田次郎は『芙蓉の人』に残した。厳冬期の頂は氷点下20度、人を寄せ付けぬ極寒の世界である◆知り合いの山ガールから先日、富士山頂の写真が携帯電話メールで届いた。ご来光、もう1枚は登山者の長い渋滞の列。「7合目から頂上まで9時間半でした」とあった。

2010年9月5日01時16分  読売新聞)
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