HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 05 Sep 2010 00:13:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「土俵の鬼」の異名が付けられたのは、初代横綱若乃花の花田勝…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2010年9月5日

 「土俵の鬼」の異名が付けられたのは、初代横綱若乃花の花田勝治さんが四歳の愛児を失った直後の場所だった。煮えたぎったちゃんこ鍋に落ちた長男の勝雄君が、大やけどを負い亡くなった▼大関だった花田さんは悲嘆に暮れ酒をあおる。もともと一〇〇キロに届かない体重が五キロ減った。土俵に上がったのはプロの意地だ。鬼神のような形相で勝ち続けた。「私の顔はまるで憤怒の相そのものだった」(『私の履歴書』)▼優勝は十回。同じ軽量の横綱栃錦と「栃若時代」を築き、引退後に起こした二子山部屋では、二代目の若乃花、隆の里の両横綱、実弟の貴ノ花、若嶋津の二大関をはじめ多くの力士を育て上げた▼八十二歳で死去した花田さんの通夜が営まれたきのう、ひつぎを乗せた車が東京の両国国技館に立ち寄った。日本相撲協会の幹部や横綱白鵬以下の幕内力士がかつての名横綱を見送った▼野球賭博問題で、先場所は自粛した天皇賜杯の授与が再開されることになり、NHKも生中継の再開を決めた。不祥事の連続に、苦虫をかみつぶす花田さんの顔を想像したが、胸をなで下ろしていることだろう▼「力士がけいこにまみれ、けいこの虫となって大成していく姿は美しいものだ」と「鬼」は猛げいこへのこだわりを語り続けた。入門者のハングリーさは年々薄れてきても、力士が強くなる法則は変わらない。

 

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