HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 04 Sep 2010 00:14:01 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ゲリラ豪雨 決め手は情報の活用だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ゲリラ豪雨 決め手は情報の活用だ

2010年9月4日

 水害の季節を前に、豪雨を監視する国土交通省の高精度レーダーの試験運用が、三大都市圏などで始まった。水害で人命の被害を防ぐには、観測情報を活用、早めに避難できるかが決め手となる。

 台風や発達した低気圧は雨をもたらすが、近年は短時間の局地的な集中豪雨による人命にかかわる被害が憂慮される。

 一昨年夏、神戸市灘区の都賀川が急に増水、児童が水死、東京都豊島区では下水道の水位が上昇、作業員が流されたり、愛知県岡崎市で一四六ミリの時間雨量による中小河川の出水で複数の死者を出す被害が続いた。

 金沢市でも中心部を流れる浅野川が氾濫(はんらん)し、床下浸水があった。ゲリラ豪雨と通称される水害の典型である。

 国交省は今年から首都圏、京阪神、名古屋の三大都市圏と北陸を受け持つ四地方整備局に、高精度のXバンドMPレーダー十一基を新設、試験運用を始めた。

 新レーダーは一基が半径八十キロをカバーする。二百五十メートル四方ごとの分解能(従来型は一キロ四方)を持ち、一分間隔で雨量を観測、情報を更新(従来は五分間隔)、大雨の実況監視が画期的に強化される。市町村はもちろん、普通のパソコンでも利用できる。

 今年七月十五日、岐阜県可児市と八百津町で豪雨による可児川の氾濫と土砂崩れがあり、死者四人・行方不明二人を出した。可児市では鉄道のガード下をくぐる市道が冠水、はまった車が濁流にのまれ、三人が死亡・不明となった。

 水位計、警告灯の不具合などの問題点が指摘されているが、実はこの時すでに新レーダーの試験運用、配信も始まっていた。激しい降雨は画面に明確に映っており、雨域の移動をつかんで速やかに通行止めや避難の処置をとっておれば、犠牲を出さずに済んだかもしれない。残念なことである。

 台風の進路については、気象庁が昨年から五日先まで予測する情報を公表している。新レーダーによる短時間ごとの雨量の実況監視の情報が加わり、的確な警戒処置や住民の避難・誘導に生かせば、構造物や資産はともかく、人命の被害は抑制できるはずだ。

 国交省は、静岡県内や中国、九州地方にも新レーダーを増設する計画である。まず、どのような情報が提供できるか市町村、さらに住民に周知を図る。自治体の防災担当者はその情報の収集に習熟して、住民の安全に役立てる方策の確立を急ぐべきである。

 

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