HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 04 Sep 2010 02:14:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:誰かさんの言う「命がけ」とは大違いで、中東和平というのは、…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年9月4日

 誰かさんの言う「命がけ」とは大違いで、中東和平というのは、真実、命がけだ▼十年前、当時のクリントン米大統領が米国保養地にイスラエル、パレスチナ双方の首脳を缶詰めにして行った協議では、ある案の受け入れを迫る大統領にパレスチナ自治政府議長だった故アラファト氏はこう叫んだと伝えられる。「私は暗殺される!」▼実際、こうした交渉の土台になった歴史的「オスロ合意」をアラファト氏とともに実現した当時のラビン・イスラエル首相はその後、国内反和平派の凶弾に倒れている。結局、あのクリントン調停も失敗し、かえって両者の紛争は激化。オスロ合意も崩壊し、以後も繰り返された和平の試みは実を結んでいない▼連想するのは、英語ラビリンスの語源でもあるギリシャ神話のラビュリントス。奥に怪物が棲(す)む「迷宮」だ。怪物退治の挑戦者を悉(ことごと)くのみこんだそれにも似て、中東和平という迷宮に挑んで解決を手に出てきた者はまだいない▼神話では、怪物は最後に若者テセウスが退治する。無事に出てこられたのは、それをたぐって帰れるようにと恋人アリアドネが渡した糸玉の糸を持っていたからだ▼最近、今度はクリントン夫人の仲立ちで、双方の首脳が新たな和平交渉をスタートさせた。性懲りなくもまた願う。今度こそは首脳らの手に「アリアドネの糸」が握られていますように…。

 

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