HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 02 Sep 2010 21:14:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:JAL更生計画 達成してこそ活路開く:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

JAL更生計画 達成してこそ活路開く

2010年9月2日

 日本航空(JAL)の会社更生計画がまとまった。大規模なリストラと財務体質の強化を実現して二〇一二年末の再上場を目指す。国民にツケを回してはならない。全社挙げて計画達成に取り組め。

 企業再生支援機構が取りまとめ政府が了承した更生計画は、国内外四十五路線からの撤退とジャンボなど老朽機の退役、本年度中にグループ従業員の約三割にあたる約一万六千人の削減が柱となっている。

 金融機関などが持つ約五千二百億円の債権をカットしてもらうとともに、支援機構から三千五百億円の出資を受け一兆円近い債務超過を解消する。財務体質の改善とともに業績の黒字化を達成。再上場による株式売却などで公的資金を返済する段取りである。

 こうした更生計画を達成するために近く経営陣を刷新。強力な経営体制を確立する。労働組合の協力も得て賃金引き下げも行う。

 計画自体は立派にできている。一三年一月までの再建支援期間中に、何とか自立させたいとの意欲がうかがえる。だが、冷静に見ると内容の甘さが目立つ。

 業績のV字回復は実現できるのか。確かに最近は景気回復もあり収益は予想以上に好調だ。来年三月期の連結最終損益は当初の赤字から六百億円を超える黒字予想となった。だが、好調が続くという根拠は不明だ。

 景気後退にともなう需要落ち込みと路線縮小による収益低下、退職金費用の増加が気になる。

 営業面ではライバルの全日本空輸(ANA)も立て直しに必死だ。海外各社と格安航空会社(LCC)の参入で競争も激化するから客単価の低下は避けられない。さらに高止まりしている燃料費など不安材料は山積している。

 来年春までの運転資金約三千二百億円についての銀行団との協議もこれからだ。債権放棄に加えさらに融資をと要請されても、納得できる説明が必要だ。

 もっと根源的な問題として企業体質の改革がある。

 第三者機関のコンプライアンス調査委員会は日航は特殊法人として出発したため官僚依存や採算性軽視、閉鎖性、無責任体質の存在など「組織体質上の問題」が放置されてきたと指摘する。

 要するに、最後は国が面倒を見てくれるという親方日の丸意識、代理店中心の殿様商売が同社倒産の真相だ。経営陣から従業員まで意識改革と体質改善を徹底しなければ、再建はおぼつかない。

 

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