「今時の若い者は…」とは、年配者が若年世代をひとくくりにして、その不品行を嘆いたりする時の常套句(じょうとうく)だ▼だが、例えるに、今、「息子」世代をその言葉で嘆く「父」世代も、若き日には、「祖父」世代から同じ文句を聞かされたはず。「祖父」の世代は「曾祖父」世代から、「曾祖父」世代は…。極端な話、どこかの古代洞窟(どうくつ)にさえ「今時の若い者は…」と書かれていたとか、いないとか▼まあ、これは眉唾(まゆつば)だが、時は流れても人が昔から同じことを言い続けているということは確かにある。例えば「暑いねぇ」。<言うまいと思えど今日の暑さかな>の句の通り、いつの夏だって人はあいさつ代わりにそう口にしてきたものだ▼だが、二〇一〇年夏の「暑いねぇ」はただの昔ながらの常套句とは言い難い。気象庁によれば、今夏(六〜八月)の平均気温は明治三十一年の統計開始以来、最高。実に百十三年間で一番暑い夏だったのだから▼戸籍上では、幕末生まれの人も多く生存していたわが国だが、実際の最高齢者は現在百十三歳というから、この統計と同年配。あるいは「人生で一番暑い夏をこの年で経験するとは」と驚いておられるかもしれない▼この暑さと例の問題を直接関連づけては短絡なのだろう。だが、こうも夏が“温暖化”してくると、気分的にはやっぱり…。<言うまいと思えど地球の暑さかな>