自民党政権時代、政治とカネの問題が出てくると、いつも考えさせられることがあった。クリーンなタカとダーティーなハト。政治家として、どちらが信用できるのか▼カネには苦労しないタカ派の世襲議員。弱者に優しく平等を重んじるが、ゼネコンなどからの資金集めが目に余るハト派。検察のターゲットになるのは後者で、その典型が田中角栄元首相や金丸信元副総裁だろう▼きのう告示された民主党の代表選に立候補した小沢一郎前幹事長は、この二人を「政治の師」と仰ぐ。政治資金規正法違反罪で秘書が起訴され、検察審査会の議決によっては、自らが強制起訴される可能性がある中での中央突破だ▼政治とカネの問題を重視する世論とは逆に、国会議員の支持は小沢さんが優勢のようだ。官僚に取り込まれた感のある菅内閣ではこの難局を乗り切れないと、小沢さんの剛腕への期待感もあるのだろう▼きのうの共同記者会見では菅直人首相から「しっかりした説明が必要」と水を向けられながら、小沢さんは「捜査の結果、何もなかった」と繰り返すだけだった。強制起訴された場合、総理としてどうするのかはっきり語るべきだろう▼東北地方の公共事業をめぐり、小沢事務所がゼネコン各社から恒常的に資金を集めていた実態も明らかになっている。小沢さんが説明しなくてはならないことはたくさんある。