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8月31日付 よみうり寸評

 〈ロシアまで畳続きの夏座敷〉――こんな句があることを、先週末、佐渡を旅して初めて知った◆尖閣湾から日本海を眺めたときのこと。波一つない海は、はるか影も見えないロシアまで青い畳を敷いたようにと表現してもおかしくないほど穏やかだった◆ガイドの説明だと、この句は与謝野鉄幹の作だという。いつ詠んだのかは知らないが、やはり同じように海は青く澄み、穏やかだったのだろう。水平線のかなたまで夏の海を畳続きの夏座敷とはうまく見立てたものだ◆日本海といえば荒海のイメージだ。少年の日の日本海を思えば、確かに夏も盆を過ぎれば、大波でクラゲが出るのが常だった。それだけに「畳続き」は鮮やか◆海は荒海、向こうは佐渡よ……。これは童謡「砂山」。作詞・北原白秋、作曲・中山晋平の名曲が広く歌われたから日本海=荒海のイメージが定着したのかも知れない。そんなことも思った◆白秋が感嘆した砂丘、グミ原に往時の面影はない。8月が去る。海よさよなら、さよならあした。

2010年8月31日14時29分  読売新聞)
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