HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37729 Content-Type: text/html ETag: "100a13-15ce-f2ef6f40" Expires: Tue, 31 Aug 2010 02:21:36 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 31 Aug 2010 02:21:36 GMT Connection: close 政府・日銀協調 「次の一手」も視野に入れよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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政府・日銀協調 「次の一手」も視野に入れよ(8月31日付・読売社説)

 急激な円高に歯止めをかけようと、政府と日銀が、ようやく協調して動き始めた。

 日銀が30日、臨時の金融政策決定会合で、量的金融緩和の追加策を決めた。年0・1%の超低利による資金供給を10兆円拡大し、総額30兆円とする。

 この日は、菅首相と白川方明日銀総裁が直接会い、経済情勢について協議した。政府も、雇用や消費の促進を柱とした追加経済対策の基本方針をまとめ、首相は「経済対策と金融政策を2本柱に機動的な対応を取る」と強調した。

 政府・日銀が、経済政策で足並みをそろえて行動したことを、ひとまず歓迎したい。

 とはいえ、追加緩和などの内容自体は想定の域を超えず、物足りなかった。タイミングも遅きに失したと言わざるを得ない。政府・日銀は強い危機感を持って、政策運営にあたるべきだ。

 昼過ぎに追加緩和が発表された後も、為替市場で円高傾向が続いた。東京市場の平均株価は、朝から政策期待で9000円台を回復していたが、午後の取引では逆に上昇幅が縮小した。

 市場関係者の多くが、日銀の本気度を疑っているのだろう。確かに市場や政府にせっつかれ、政策を小出しにした印象が強い。

 先週末、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が講演で、追加緩和の用意があると表明し、先手を打たれた形になったことも、効果をそいだ。

 もはや市場の関心は日銀の「次の一手」に向き始めている。対応の遅れを再び投機筋に突かれ、円高を加速させぬよう、長期国債の買い入れ増額など、新たな緩和策も視野に入れるべきだろう。

 円高は輸出企業や下請けの部品メーカーなどの利益を減らし、設備投資の意欲を冷え込ませる。

 仮に、1ドル=85円という現在の円高水準が定着すると、製造業の4割が、工場や開発拠点を海外に移転する考えだという。産業空洞化が日本経済を弱体化させる事態は、避けねばならない。

 政府・日銀は、円売りの市場介入も選択肢に、現在の円高水準を容認しないとの決意を、断固として示すべきである。

 政治の動きが、市場に与える影響にも注意したい。先週来、民主党代表選の展開次第でバラマキ政策が増えるとの懸念から、長期金利が急上昇する場面があった。

 市場はさまざまな要因で激しく動く。政権与党として、市場の声によく耳を傾けてもらいたい。

2010年8月31日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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